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「医師への教育的観点から問題ある」 ─ DPCヒアリングまとめ

ヒアリングのまとめ ─ 厚労省
 

(1) 再入院及び再転棟について
 再入院については、 3日以内及び4~ 7日以内の再入院の割合が大幅に変化している医療機関が認められたが、調査票において、患者の不利益が懸念されるような事例は認められなかった。
 一方で、再転棟の割合については、非常に多い医療機関があった。
 再入院及び再転棟についての調査の結果も踏まえつつ、今後も再入院及び再転棟の動向について注視していくこととしてはどうか。

(2) 特定の診断群分類のコーディングについて
 播種性血管内凝固症候群(DIC)及び敗血症については、全DPC対象病院の平均に比べ、軽症な症例で算定されている事例があった。
 これらの中には、不適切なコーディングも指摘されたが、一方で、患者の状態によっては、軽症でもこうした疾病に準じた治療が実際に行われており、必ずしも不適切とは言えない場合もあるとの指摘があった。
 こうしたことを踏まえ、これらの診断群分類においては、適切な分類方法について検討した上で、例えば、必要に応じて臨床上の負担が過剰にならない範囲において、様式1及びレセプトにおいて、診断根拠や重症度が分かる指標を入力することを検討してはどうか。

(3) 後発医薬品の使用状況について
 後発医薬品への取り組みについては、医療機関により大きな差があったが、病院として積極的に取り組んでいる病院では導入が進んでおり、各医師に委ねている病院では導入が進んでいなかった。また、取り組みが進んでいない医療機関からは、薬品の品質等についての不安感が示された。
 こうしたことを踏まえ、医療機関としての取り組みを進めることが重要であり、厚生労働省の担当部局より、引き続き後発医薬品についての啓発と必要な情報の提供を進めつつ、DPCデータにおいて、その動向を注視することとしてはどぅか。

(4) DPC導入前と導入後での診療内容の変化について
 DPC導入後、後発医薬品の使用や検査の外来での実施等により、大幅に効率化を進めた医療機関があったが、特に医療の質について、問題となるようなことは認められなかった。
 また、計算上は現出来高実績点数が現支払点数に比べて非常に小さくなっていたが、調整係数が比較的高いことによる影響が大きかった。

(5) データの質について
 データの提出を再三に渡り遅滞している病院があり、その原因としては、院内のITシステムや章識の問題もあったが、一方で、データの質の確保のためには、病院としてマンパワーも含めた体制を整える必要があるとの指摘もあった。
 
(6) カルバペネム系または第4世代セフェム系の抗生物質の使用状況について
 これらの薬剤について、適切ではないと考えられる使用が行われた事例も認められた。一方で、こうした状況について他の医療機関と比較したことはなく、自院の状況を把握出来ていなかったとの意見もあった。
 こうしたことを踏まえ、現在、新たな機能評価係数の議論において指摘されている医療の質に係るデータを公開していることの評価の議論に合わせ、病院として医療の標準化、質の向上の取り組みを推進することについて今後検討していくこととしてはどうか。

▼ 今回のヒアリングでの指摘事項がDPCルールの変更につながる。今後、DPC病院として続けていくためには医事課職員の質向上、診療情報管理士など専門スタッフの充実がさらに求められるだろう。以前、DPC評価分科会の委員に「医療の質とデータの質は違う話ではないか」と質問したところ、少し考え込んだ後、「データの精度を上げていけば医療の質も向上するという考えだ」と答えた。

 (この記事へのコメントはこちら)
 
 

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【目次】
 P2 → [ 医療機関からの主な意見 ] ─ 厚労省
 P3 → [ ヒアリングでの主な指摘事項等 ] ─ 厚労省
 P4 → 「医学教育という面がかなり重要な役割」 ─ 西岡分科会長
 P5 → ヒアリングのまとめ ─ 厚労省

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