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地域医療再生基金の狙いは医師の計画配置か

日本医療・病院管理学会1017.jpg 医師不足の解消など医療再生計画を策定した都道府県に国が支給する「地域医療再生基金」について、厚生労働省の担当者は「ハコモノじゃなくて、マンパワーの確保ということが一番大事だ」と指摘した上で、「どこかの病院1つだけを大きく建て替えるためにたくさんのお金を使うというのは好ましくない」と強調している。同基金の実体が、「医師の計画配置」を進めるためのバラマキ政策であることが再確認されたといえる。(新井裕充)

 日本医療・病院管理学会(理事長=池上直己・慶應義塾大教授)は10月17日、東京女子医科大の弥生記念講堂で「第47回日本医療・病院管理学会学術総会」の1日目を開催した。
(2日目はこちら
 今年のテーマは、「国家財政と医療 ─あるべき医療の姿を求めて─」。宇沢弘文氏(東京大名誉教授)が「社会的共通資本としての医療を具現化する」と題して特別講演したほか、「国家財政と医療」をテーマにしたシンポジウムが開かれた。

 シンポジストとして参加した厚労省医政局指導課の新村和哉課長は、補正予算見直しで750億円減額された「地域医療再生基金」について、「マンパワーの確保が一番大事」と指摘。「100億円で大きな病院再編をしたいと考えていた所には申し訳ないし、残念」などと述べた。この発言には、やや違和感を覚える。

 補助金がらみのハコモノ行政を繰り返す厚労省医政局の担当者が、「マンパワーの確保が一番大事」などと強調したのはなぜだろうか。それは、「地域医療再生基金」の実体が、医師の計画的な配置に道筋を付けるためのバラマキ策だからではないか。
 地域医療再生基金の"合格基準"は依然として謎に包まれたままだが、地域の拠点病院を中心にした研修医の派遣システムなど、医師の地域偏在を解消するための方策が盛り込まれた計画が優遇されることが予想される。

 なお、新村課長の発言は次ページを参照。


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