文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

新型インフル 議論そのものを公開 足立政務官ヒヤリング

 19日晩に急遽開催された新型インフルエンザワクチン接種に関する緊急ヒヤリングは、大変に白熱して面白かった。しかし終了後の記者たちの顔を見ていると、金曜日の専門家会議について旧来型取材の常識に則って記事を書き、結果的に"誤報"とされて面白くなかったらしい。無理に要約しようとするから間違えるので、当方はあんまり要約しない。(川口恭)

 足立
「今日は急にお呼び立てして大変申し訳ない。先週金曜日の専門家会議の後、専門家会議の意見というのも検討段階の意見であって行政としての方針を決めるのは月曜か火曜になると正林室長も説明したと思うのだが、しかし週末の報道を見ていると、あたかも決定事項であるかのように流れている。厚生労働省としての判断がまだなんだということを明示できなかったことを、まずお詫びする。明日2回目のワクチン出荷を前に、厚生労働省として新型インフルエンザワクチンについてどのような方針で臨むのか、まずは意思統一したい。推奨するのは1回接種か2回接種かということについて混乱が見受けられる。地方自治体からも明確に、との問い合わせが多い。

 では私が司会を。

 まずは金曜日の結果、概要を1枚紙でいただいたが、資料には入っていないのか。実は金曜日の夜、大臣と臨時国会に提出する法案のことで協議していた時にそこに提示された紙には臨床試験の分析結果と今後の方針が書かれていた。それを見た時に、私も科学者の端くれとして、とてもそんなことは言えないだろうということが入っている気がした。厳密に言えること言えないこと、臨床試験の目的と結果、今後の方針そういうものが分けられていない、いわばリザルトとディスカッションがゴチャ混ぜになっていて、これを見たら皆さん判断に困るだろうと思った。

 結論は希望する国民全員に接種できることが目標になることは間違いないのだが、まずは臨床試験の結論として何が言えるのか」

 尾身
「政務官のリーダーシップに感謝している。恐らく国民も混乱して困っている。専門家会議での評価と結論との間にギャップがあるので説明が必要だと思う。今回は健康な成人200人に対してやった試験の結果で基礎疾患のある人や妊婦まで1回でよいと傾いたかしっかりと説明が必要だろう。そこをご説明してご判断いただきたい。

 今回はほとんどのワクチンの専門家にとって嬉しい誤算だったと思う。47年にスペイン風邪の系統からイタリア風邪の系統へと抗原性が変わったので60歳以上の人で90歳に近づけば近づくほど免疫があると言われていた。逆に47年以降に生まれた人には免疫がないという前提だった。ところが200人に対して行った臨床試験の結果、あの最大のメッセージはブースター効果がない、免疫記憶がない全くの新しい感染だとあり得ないほど、ヨーロッパの3つの基準に関して有意にハードルを超えている。それをどう判断するのか。何らかの免疫の記憶がないとああはならないというのが、ほとんどのサイエンティストの考え方。

 はっきり言って誰もまだワクチンを打ったことがないのだから現場でどのように反応するかは注意が必要だが、全くの処女の、言葉は悪いが、処女の感染では非常に考えにくい。たとえはH5N1では、あんな反応しない。3つのクライテリアに関して30マイクロだけでなく15マイクロという少量でもヨーロッパの基準を越したことは、これは日英だけでなくオーストラリアも米国でもサイエンティストは大体。。。」

 足立
「時間がないからシンプルに。この臨床試験の結果言えることは」

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス