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ニュース〜医療の今がわかる

診療報酬は破綻している ~『現場協議会より』


 これが現状。皆さんHPを見ればどこからでも見られる。これが日本の診療報酬制度の現状だということをまず頭に入れていただきたい。新聞やメディアの方たちに申し上げたいが、千葉県は赤字だけど、東京都は黒字だという見出しが出る。

 たしかに一番下の全体収支というところは、千葉県ではあまり税金がたくさん突っ込めないので、93億3,200万円を突っ込んで18億円の赤字と新聞は報道する。東京都はお金持ちだから419億円の我々の税金を投入するので、都立病院は5億8,000万円の黒字と、これだけを書く。全くこれは違う。

 現実には、例えば民間病院なら3ヵ月もたない。1ヵ月で潰れる数字。これが現状。

 ただ、なぜか多くの人は公立病院は、不採算医療をやるから仕方ないのだと思ってあきらめる。本当にそうなのかどうかは、また後で話をするとして、まず県立病院だとか自治体病院は給料を公務員体系でやっている。公務員給というのは、基本的には一般の事業会社というものを参考にしてごく普通の体系になっているはず。それをそのまま当てはめた時には、先程のような結果になるということだ。

 それでは、どうやって民間はやっているのかというと、先程のあれをパッと計算してみれば分かる。例えば30何%の赤字で、医療収益の中で人件費比率を60%と考えてみれば、給料を半額にするとちょうど30%がなくなる。皆さんの給料を半額にすれば何とかやれるかもしれない診療報酬制度だ。

 公立病院は不採算医療ばかりやっていて、だから経営が悪いのかという話に戻す。どういうものを不採算医療、どういうものを公的な医療と言うのか。非常に簡単。基幹病院の定義を明確に書いたものはないけれど、たとえば警察署がやる役割、消防署がやる役割のように、病院がやらなければならない本当に公的な役割といったら、「4疾病」「5事業」の中でも、特に救急、それから入院も含めて小児の医療、周産期をきちんとやっているところを公的な病院と言う。

 公立病院と公的な病院は全く違う意味だということをこれからお話しする。公的な医療は、病院が公立か民間かということは全く関係ない。

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