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ニュース〜医療の今がわかる

DPC病院の延命は"ブラックボックス" ─ 調整係数廃止で

■ 「"ブラックボックス"を設定するつもりではない」 ─ 企画官
 

[木下勝之委員(日本医師会常任理事、成城木下病院理事長)]
 この図を見ますと、「現行」と将来(平成XX年)の「在るべき姿」の所の全体像は現在と全く変わらないような......。
機能係数の段階的廃止.JPG ▼ 長方形の大きさは同じだが、そうならないはず。

 つまり、むしろ「暫定調整係数」はもっと非常に少なくなって、最初の私たちのイメージとしては、「新たな機能評価係数」を導入することによってかなりの部分はなくなって、「暫定調整係数」はわずかに30%ぐらいになるんじゃないかと、最終的にはそれ(暫定調整係数)はゼロになっていくんじゃないかなと......。

 つまり、トータルとして今の「調整係数」と最後が同じだとすれば、なぜ変えなくちゃいけないのか。「調整係数」のまま変えないでいくというイメージであるなら、何らその、「(新たな)機能評価係数」をこれだけの時間をかけてやる必要はなかった、今まで通りで構わないではないかと思われてしまうのではないか。

 先ほど、1.05であるならば、(暫定調整係数)が上がったり下がったりすることもあるとすると、この表自体がですね、非常に誤解を招くような表なんであって、「下がったり上がったりしてもいいんだ」と、「差が少なくなればいいんだ」ということで、ちょっとこの図自体がですね、非常に誤解を招くように思います。そういう考え方ではないのか、どうでしょうか?

[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 よろしいですか、お願いします。

[厚労省保険局医療課・長谷川学課長補佐]
 このイメージ図につきましては、個々の医療機関を示したものであって、DPC制度全体を示したものではございません。上がったり下がったりする医療機関も多少はありますが、全体として平均で見た場合にはこのような......、というものでございます。

 ▼ 絶妙なかわし方。この後、話をずらす。

 確かに、図の(平成22年の赤い部分の)下がり具合につきましては、現行と平成22年の間に非常に差が大きくありますが、私どもは平成22年(の赤い部分)と平成24年(の赤い部分)の間の差の表現のほうが良かったのかなと思っております。あくまで図のイメージの表現でございまして、誤解を与えるイメージ図でした。

 ▼ 木下委員は、「現行」の長方形と「平成XX年」の長方形が同じ大きさであることを指摘したのだが......。

[木下勝之委員(日本医師会常任理事、成城木下病院理事長)]
 逆に言いますと、今後の方向性としては今の「調整係数」とほとんど変わらないような係数に最終的にしていって、「どこの病院でも不満はないんだ」という考え方ですね?

 ▼ そんなはずはない。中小病院を潰そうと必死にやってきた今までの議論が台無しになってしまうから、そんなことは絶対にしない。

[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 どうぞ、企画官、お願いします。

 ▼ 中医協の遠藤会長なら、医療課に振らずに自分で答えて煙に巻くだろう。

[保険局医療課・迫井正深企画官]
 あの......、これはあの......、辻村委員ご指摘のことも合わせてお答えしておきたいのですが、「突如降ってわいた」というふうにご指摘をされるとちょっと辛いところがあるんですが......。

 テクニカルに考えてもですね、今回いろいろご議論いただいて、基本的にはさまざまな指標で、「調整係数」というやや......、「やや透明感が少しないのではないか」というご指摘も含めまして、「さまざまな評価をする指標に置き換えていこう」というのですが......。

 (語気を強めて)ただ、それですべての係数を評価して置き換えることはできないことは自明だと思いますので、やはりベースになる、ベースになる急性期の医療機関が担っているファクターがあって、それが定数なのか、それが機能に応じてなのか、いろんなご意見があるのも承知しておりますので、それは少なくとも平成22年改定までに合意が得られることはちょっと難しかろうと思いますので、最後に目指す所を......。

 ▼ 「それが定数なのか、それが機能に応じてなのか」と言うが、では今まで何を議論していたのだ? ここに来てちゃぶ台をひっくり返すこともないだろう。「次期改定には間に合わないから調整係数の廃止を延期したい」と言えばいいだけではないか。

 ま......、名称として、突如降ってわいたかもしれませんが、何か"ブラックボックス"を設定するというつもりでご提案しているわけではございません。その前提で、そこに至るまでに2段階のプロセスを踏んで、まあ、軟着陸をしていこうということでございます。ですから、「今と変わらない」ということでは少なくともないのかなあというふうに考えております。(中略。計算式の設定に当たり高度な急性期医療を手厚く評価するよう求める意見などあり)


【目次】
 P2 → 「調整係数の段階的廃止」について ─ 資料説明
 P3 → 質疑① ─ 「移行期間は『暫定調整係数』で最低水準を保証」(企画官)
 P4 → 質疑② ─ 「激変緩和をどう設定するかで条件が変わる」(企画官)
 P5 → 質疑③ ─ 「時間をかけて、在るべき姿を議論」(企画官)
 P6 → 質疑④ ─ 「"ブラックボックス"を設定するつもりではない」(企画官)
 P7 → 「かなり理論武装しなきゃいけない」 ─ 西岡分科会長

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