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ニュース〜医療の今がわかる

12月11日の中医協 (ブリーフィング)

■ 基本問題小委員会① ─ 手術等
 

[保険局医療課・佐久間敦課長補佐]
 まず、手術の関係です。外科のヒアリングということで、癌研(有明病院副院長で)、外保連(外科系学会社会保険委員会連合)会長の山口(俊晴)先生と、東大大学院医学系研究科(小児外科教授)の岩中督先生、こちらも外保連の会長補佐、手術委員長ということで、こちらの2人からご発表を頂きました。

 ご発表の内容はお聴きの通りと思います。各外科系の日本の成績が優秀であるというお話、胃がん、大腸がん、その他の手術についてもそうですが、そういったようなお話。
 それと、(山口氏のスライド中で)「外科医療の崩壊」というタイトルが使われていましたが、外科の志望者が減って、救急医療、病院医療が難しくなって、医療の質も低下していく。外科医が減少している理由や状況、それから手術についても1施設当たりの件数が増えているという話がございました。

 また、(医療)訴訟についても(医師1000人当たり11.5人の)産婦人科などと同様に、外科(9.6人)は非常に多い。こういったいろいろなジレンマがある中で、特に「診療におけるジレンマ」(は改善不能)と表現されていましたが、時間外勤務を減らして手術を迅速にやるようなことや、また手術には便利でも保険で償還されてない材料は使えないということがある。それを解決する方法として提案されていたのが、特に「技術料(手術料)の適正な評価をしていただくこと」というご意見があったかと思います。

 その(技術料の)適正な評価のために外保連が今進めている「試案」というものがございます。その内容について、かなり詳細なご説明があったと思います。
 外保連の試案の内容については山口先生のご発表と、岩中先生から実際の試案のデータをご提出頂きながら、「どのような算定根拠で(手術料を)計算しているのか」、もしくは「(手術料に含まれる)医療材料について精緻化されていない部分があるので精緻化を進めている」というお話があったと思います。(手術等では)それが1点です。

 それと、嘉山(孝正)委員(山形大学医学部長)から発表がございました。これは(タイトルが)「医師の技術料への一工夫」、(サブタイトルが)「山形大学医学部附属病院の工夫と限界」ということで、山形大学附属病院で実際に採られている現行の医師の手当等についてご説明がありました。こちらの手当の内容について、(嘉山)先生から「日本全国でやられれば......」というお話もございました。

 それと併せて、事務局(保険局医療課)側から資料を提出させていただきました。「診─1」(診療報酬における医師の技術や能力の評価)と参考資料です。これは、医師の技術や能力を評価しているものでどんなものがあるかをリストアップと言いますか、概念的に(①医療法に定める人員標準に着目、②特に要件を付けずに医師の技術等に着目、③医師の配置や技術に着目─の3つに)分けた上でリストアップしました。

 これは(佐藤敏信)課長からご説明がございましたが、医師の技術や能力について1つは、医療法に定める人員標準に着目したものがあるでしょうということ。また、特に要件等は付けていませんが、医師の技術等に着目したようなものや、診断料や判断料などがあるということです。

 あと、3番目は「医師の配置や技術に着目したもの」ということです。これは、専従や専任などの時間的な配置の要件や、経験年数、経験症例数などの医師のキャリア、診療科など医師の専門性を評価した要件が一部にあります。
 ということで、それぞれの項目でどれぐらいの数があるか、参考資料では具体的な配置要件の一覧表を提出させていただきました。

 こういった資料に基づいてヒアリングの方々、もしくは嘉山先生のご発表について質疑がありました。特に、「技術とモノの分離」が議論になったと思います。山口先生への質疑で鈴木(邦彦)委員(茨城県医師会理事)からご提示があったと思いますが、現行上で対応する場合に技術料を上げることで良いのか、それとも技術(とモノ)を分離していくのが良いのかといった話がありました。

 そこで岩中先生からご意見がありましたが、「現状の外保連試案では材料の部分が精緻化されていないので、分離に向けた作業をしている」というようなお話があったと思います。

 それから、嘉山先生のご議論の時に(遠藤)委員長からお話があったと思います。嘉山先生のご主張である「(診療報酬を医師に直接支払うという意味での)ドクターフィーを創設すべき」とのご意見を紹介されて、その上で、「実際にその部分を変えるには法律の改正が必要であるということあって、なかなかすぐにということにはならない」(と指摘した)。
 現実的に(ドクターフィー的な制度を)やるとして、医師の配置や評価したような項目があるのですが、例えば、「(医師に)手当を出すということを算定要件に入れるという方法はどうか」ということで、問題提起というわけではないのですが、「ご意見を聴いてみる」という形で提案があったと思います。

 ▼ ブリーフィングの質疑で、医療課の尾崎守正課長補佐は「手術点数の加算の要件というイメージでおっしゃったように思う」とコメントした。

 それについては、それぞれご意見があったと思います。賛成意見もあったでしょうし、反対意見もあったと思います。特に西澤(寛俊)委員(全日本病院協会会長)からですね、「設立主体によって考え方が変わってくる」というようなお話もありました。「医師のふさわしい処遇は医療機関の中での対応があるでしょう」という話もあったと思います。

 あと鈴木委員でしょうか、民間についてはコスト意識もあってそういう対応をしている部分もあるので、「一律的には......」という話があったという気がしています。
 ということで、ここ(ドクターフィーの導入)についてはさまざまなご議論があったと思いますが、「引き続き議論していく」ということになったと思います。手術関係については以上でございます。


【目次】
 P1 → 保険医療材料専門部会 ─ 平成22年度保険医療材料制度改革の骨子(案)
 P2 → 薬価専門部会 ─ 平成22年度薬価制度改革の骨子(たたき台)
 P3 → 基本問題小委員会① ─ 手術等
 P4 → 基本問題小委員会② ─ DPC

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