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がんの先進医療が普及すると医療費が増える?

■ 「保険適用の理由を開示したほうがいい」 ─ 遠藤会長
 

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 それでは、中医協で決定しなければいけない内容になりますが、「先進医療」(として認められた技術)を保険導入する議論に移りたいと思います。「既存の先進医療に関する保険導入等について」を議題といたします。事務局(保険局医療課)から資料が出ておりますので、引き続きご説明をお願いいたします。事務局、どうぞ。

[保険局医療課・迫井正深企画官]
 医療課企画官でございます。(資料)「総─5」(既存の先進医療に関する保険導入等について)をご覧いただきたいと思います。

 今回、(厚労省の)先進医療専門家会議(座長=猿田享男・慶應義塾大医学部名誉教授)を1月14日に開催いたしました。そこでご議論いただきまして、先ほどからご説明、ご紹介いたしました(先進医療)技術につきまして、保険導入(するか)、22年度改定で(保険)導入すべきかどうかということについての議論の結果をご報告させていただきます。(中略)

 ▼ 同会議では、既存の第2項先進医療103技術(2010年1月現在)のうち、昨年6月末までに先進医療として承認され、実績報告が提出された94技術について保険導入等を検討。その結果、「優先的に保険導入が適切である」と評価されたのが12技術、「削除が適切である」と評価されたのが6技術だった。これら以外はすべて(先進医療のまま)「継続が適切である」と評価された。つまり、今年度の保険導入が見送られた技術がほとんどで、この中に「重粒子線治療(固形がんに係るものに限る)」も含まれている。
 なお、保険導入の適否に関する理由は個別に示されておらず、「優先的に保険導入が適切であると評価された先進医療」について、「普及性、有効性、効率性等に鑑み、保険適用とすることが適当と考える」と記されているだけだった。これでは保険導入について議論するのは難しい。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい、ありがとうございます。「保険適用にしてよいかどうか」ということでありますので中医協が決めることでありますけれども、少し......、この資料についてお尋ねしたいのですが......。

 まず、「保険適用が適切である」と先進医療専門家会議がおっしゃっている技術が12あるわけですが、その理由......。「なぜ保険適用が適切なのか」ということを先進医療専門家会議で一応まとめているということなのかどうか。もしそうであるならば、それもここで開示していただいたほうがいいのかなということが1つ。

 もう1点は、支払いの要件ですね、要件について何ら入れておりません。今後、この新技術をここで議論するときに、点数が最終的に入るのは分かるのですが、支払要件との絡みですね、あるいは(実施できる)施設要件、そういったことと絡む議論をしなければいけないのですが、今後、その機会があるのかどうか。その2点について確認したい。企画官、どうぞ。

[保険局医療課・迫井正深企画官]
 はい、医療課企画官でございます。まず前半の(質問)、会議での評価の状況でございますが、これは先進医療専門家会議は公開で行っておりまして、そのときの資料をそのままここにお付けする手もあったのかなと反省しておりますけれども、そのときの評価の状況、それから基本的なその......、構成員の......、いわゆる(評価結果について)分かりやすい「A」「B」「C」「D」も含めまして、評価の状況につきましては少なくとも開示されておりますので、お示しできたのかなと思っております。

 ▼ 専門家3人が各技術について書面審査をして、「A=優先的に保険導入が妥当」、「B=保険導入が妥当」、「C=継続することが妥当」、「D=取り消すことが適当」などを判定する(一次評価)。その結果を受け、先進医療専門家会議で二次評価を行う。同会議は一次評価の判定を追認するに等しいため、一次評価が重要になる。しかし、「評価の公平性を担保するため、各技術を担当する構成員(3人)の氏名は非公表」とされている。なお、「重粒子線治療(固形がんに係るものに限る)」の一次評価は「総合C」となっている。

 個々の技術がどういった観点で......(保険適用を認められるのか)というのは、基本的には、さまざまな分野のさまざまな技術がございますので、「一律に」というのはなかなか難しくて、基本的にその......、評価を頂く視点といたしまして、「普及性」でございますとか......。

 もちろん、安全性、有効性は大前提でございますけれども、そういった観点で見ていただくということしか......、ま、事務的にはないのかなと思っております。それが1点目です。

 2点目ですが、今回これをお認めいただけるとするならば、この後、実際に「どういった要件で」、「どういった点数で」ということに議論が当然移ってまいるものと承知しております。(中略)

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい、ありがとうございます。最初の(質問である保険導入の)理由については、そういう意味では、今回は(配布資料では)検討していないけれども、知ろうと思えば公開されているので、アクセスすることができるので......、ということが1つだったと思います。

 もう1つは、私がなぜ聞いたかと申しますと、点数が最後に出てきてしまって、なかなかそこでは議論できずに......。ザッと出てくるわけですよね、大量なものが。その中で同時に施設要件もザラザラーっと出てきてしまうと、施設要件との絡みの議論ができなくなってしまう可能性があるので、きちんと施設要件と絡めた議論ができるのかどうか、その段取りですね、そのことを確認したかった。

 と申しますのは、そもそも先進医療をつくるときに、我々(中医協)はコメントだけはできるんですね。そのコメントをするときに施設要件が細かく出てきて......。その施設要件についていろいろ議論していて、肝心要の保険収載する段階においては施設要件について十分な議論ができないというのは本末転倒だと思いますので、その辺、「やり方としてどうなのか」ということを確認します。事務局(医療課)、どうぞ。

[保険局医療課・迫井正深企画官]
 はい、医療課企画官でございます。この点、確かに「どこの場で議論するのか」という整理が若干必要かなという気がしますが、ただ、(中略)、技術的な観点から見ますと、先進医療で実施されていた施設要件を基本的に踏襲して保険導入しておりますので......。その点、プラスアルファ、保険という観点で必要かどうかはむしろ中医協で......。(ここで遠藤会長がさえぎる)

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 分かりました。先進医療の施設要件をそのまま保険(導入)のときの施設要件にするというのは初めて聞きましたので、そういう......、私は初めてなんですね。そういうことが今まできちんと言われたかどうか記憶にないものですから、それを確認したかった。(中略)

 ▼ 先進医療を実施できる医療機関の要件は厚労省の先進医療専門家会議で決定し、これを保険導入の際にも踏襲することを了承。

 それでは、そういう大前提があるということで、この(先進医療技術)12の案件について保険収載するかどうか、ご意見をお聴きしたい。はい、牛丸委員どうぞ。
 

【目次】
 P2 → 「毎回毎回、自己負担分を患者さんに浴びせていくのか」 ─ 嘉山委員(診療側)
 P3 → 「全国一律に同じ診療を受けられるかに関心ある」 ─ 白川委員(支払側)
 P4 → 「保険適用の理由を開示したほうがいい」 ─ 遠藤会長(公益)
 P5 → 「専門の方々の共通認識は我々には分からない」 ─ 牛丸委員(公益)
 P6 → 「普及性は『鶏と卵』みたいな話」 ─ 安達委員(診療側)
 P7 → 「保険で認めればトータルコストは安くなる」 ─ 嘉山委員(診療側)
 P8 → 「重粒子線を全国に普及するのは反対」 ─ 関原委員(公益)

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