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ニュース〜医療の今がわかる

がんの先進医療が普及すると医療費が増える?

■ 「専門の方々の共通認識は我々には分からない」 ─ 牛丸委員
 

[牛丸聡委員(早稲田大政治経済学術院教授、公益委員)]
 先ほど(遠藤)会長から、先進医療専門家会議が12の技術について「優先的に保険導入が適切である」と考える理由について(質問があったが、医療課企画官は)「理由については公表されている」というお答えがありました。

 (保険導入を適切とする理由が公表されているとすれば)それを見ればいいと思うのですが、改めてもう一度お聞きしたいのは、この(先進医療専門家会議の報告書の)1ページに書いてありますけれども、「以下の12技術については、その普及性、有効性、効率性等に鑑み(保険適用とすることが適当と考える)」......。

 結局、ここが(保険導入の)基準だと思います。一次評価と二次評価を通ってきているわけですが、例えば、一次評価では3人の方が「A」「B」「C」「D」を付ける。そのとき、事前にこの基準が与えられているわけですよね、共通認識として。

 ここで、(普及性、有効性、効率性という)3つの言葉が出ていますが、「もう少し具体的に」と言いますか、これがどういうものなのか。「普及性」「有効性」「効率性」......、それについて教えていただきたい。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい、企画官どうぞ。

[保険局医療課・迫井正深企画官]
 はい、医療課企画官でございます。これはあの......、実は先ほどもご議論がございました。個別の技術で、「腹腔鏡下根治的膀胱全摘除術」のときに、「どういった視点で」という話が出ましたけれども......。

 牛丸委員ご指摘の点につきましては、この「普及性」「有効性」「効率性」が基本的な視点であるということ。それ以上、ディティール(詳細)につきまして、「基準をさらに明確に」ということはなかなか......。

 文章上と言いますか、画一的な基準を設けること自体が難しいのではないのかな、あるいは逆にそれを設けることがかえって専門家と現場の判断に乖離が生じるのではないのかな、そういうご指摘もございますので、この定性的な評価基準となっております。

 その理由は......、まずは、今回のご議論に付していただいております100いくつの技術、非常に多岐にわたっております。診断技術もあれば手術の技術もある。さまざまな技術がありますので、基本的には個別に実情に応じて判断するということしかないのかなと思っております。答えになっているかどうかは分かりませんが、事務局からは以上でございます。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 ありがとうございます。

[牛丸聡委員(早稲田大政治経済学術院教授、公益委員)]
 ただ、この専門の方々の共通認識は我々には分からない。何かそういうものは......、あるんでしょうね? (委員ら、笑い)

 ▼ 学閥とか力関係とか......。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 企画官、どうぞ。

[保険局医療課・迫井正深企画官]
 はい、あの......、同じ答えになってしまうかもしれませんが、私どものほうで評価に際しましてですね、もう少しブレークダウンして言うとすれば、個別の評価について、例えば「有効性」でございますとか、「安全性」でございますとか、「技術的成熟度」、それから「社会的妥当性」、すなわち「社会的倫理的問題等」とか......。

 「普及性」、「効率性」、既に導入されている医療技術との比較ですとか、将来の保険収載の可能性、こういったことを視点として見ていただきたいということはお示ししておりますけれども、これ以上のディティールにつきましてはなかなか......。先ほどご説明した通りで、ある程度、「個別に実態に即して」ということなのかなと理解いたしております。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい、ありがとうございます。安達委員、どうぞ。
 

【目次】
 P2 → 「毎回毎回、自己負担分を患者さんに浴びせていくのか」 ─ 嘉山委員(診療側)
 P3 → 「全国一律に同じ診療を受けられるかに関心ある」 ─ 白川委員(支払側)
 P4 → 「保険適用の理由を開示したほうがいい」 ─ 遠藤会長(公益)
 P5 → 「専門の方々の共通認識は我々には分からない」 ─ 牛丸委員(公益)
 P6 → 「普及性は『鶏と卵』みたいな話」 ─ 安達委員(診療側)
 P7 → 「保険で認めればトータルコストは安くなる」 ─ 嘉山委員(診療側)
 P8 → 「重粒子線を全国に普及するのは反対」 ─ 関原委員(公益)

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