文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

患者の「知る権利」と「知りたくない権利」 ─ 明細書で激論

■ 「個人情報が出てトラブルを生じることを危惧」 ─ 渡辺委員
 

[渡辺三雄委員(日本歯科医師会常務理事)]
 参考資料(領収証、明細書、レセプトの様式)を見ていただきたいのですが......。(中略)

 ▼ 投薬の内容は処方せんを見れば分かるので、「(領収書の記載以外に)何が必要なのか、1号(支払)側のお考えを聞きたい」と質問。

 もう1点、9ページ(歯科のレセプト様式)。前回(の総会で)約100項目以上あるとお話ししましたが、正確に数えると約380ぐらいあったかと思います。
 専門的な言葉があってかえって分かりにくくなってしまうということを前回申し上げたのですが、こうした(レセプト並みに詳しい)明細書よりは、領収証のほうが患者さんにとっては分かりやすいのではないかなと、歯科の現実......、こうした明細書と比較すると感じています。「1号(支払)側の皆様のお考えはいかがかな」というところをお聞きしたいと思います。

 それともう1点、医科も歯科も明細書はですね、医療機関(の名称)は当然でありますけれども、保険証の内容が全部記載されておりますですね。患者さんのお名前はもちろん、生年月日まで出ているということで、まさに個人情報そのものがこの中にすべて......、そして病名もそうですね、書かれている。

 これが毎回のように出て行くということで、かえってトラブルを生じる原因になるのではないかなということが危惧されると思うんですけれども、そうした点をどうお考えになるのかという点でございます。(中略)

 (明細書発行のため)日本歯科医師会等もですね、新しいソフトを開発するということで、間もなく出来上がる予定にはなっておりますけれども、その普及はまだこれからの段階なので、大変厳しいという現状を申し上げると同時に、「明細書と領収証とを比較してどのようにお考えになるのかな」というところもお伺いしたいと考えております。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい、ありがとうございます。これは1号(支払)側へのお尋ねということです。特に、歯科に限った場合は「領収証」で必要な情報は網羅されているのではないか......。

 ついでに、これは事務局(保険局医療課)へのご質問ということ形だったのですが、1号(支払)側のご意見も聴きたいのですが、要するに保険に関する細かい情報までも記載されているのですが、そういうものを1号(支払)側としては必要とするのか、その辺を2つお答えいただければと思います。

[勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)]
 (患者に開示すべき情報の範囲など)そういう議論はかなり長くあって、その結果、今は国立(病院)とかが(レセプト並みに詳しい明細書を)発行して既に2年近く経つわけです。「その様式を広げていってほしい」と言っています。そこ(国立病院が発行する明細書)には病名とかは書いてありません。
 まさに、参考資料3ページ(明細書の様式)にあるような様式なので......。つまり、そういう議論をもう一度蒸し返すとすごく長い議論になりますので、今、国立が実績をつくっている、それを(全国の病院に)広げていくんだということで......。

 どこもやっていないんだったら、(個人情報が漏洩されるなどの)「危惧」とか、そういう議論も必要なんでしょうけども、今はまさにこれ(国立病院の様式)進めていく。病名は書いてないので、こういう(国立病院の)様式と同じような様式を、私としては個人的な意見ですが、歯科でも医科にならったような様式を作れば作れるんじゃないかというふうに思っていますので......。

 「患者にとってどんな情報開示が大事なのか」っていうことは医政局マターだと思うんです。だけど、中医協として議論できるのはここであって、中医協が議論しなければいけない、すべきなのはここなので......。歯科の場合でも、やはり医療費を透明化していく努力をしていただくと同時に、中医協が決めている価格はこうなんだと患者に伝えていく。その観点は中医協が決めることなんで......。

 もっと総合的に、「患者にどんな情報提供が良いのか」という議論をここですると長くなるので、中医協としてやれるべきことはやっておきたいということでのお願いだったのです。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 事務局(保険局医療課)にお聞きしてもいい話なんですが、もう1つの質問は、1号(支払)側の意向として生年月日とか保険者の番号とか、そういったものは必要なのかどうか。もし、お考えがあれば......。

[勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)]
 (参考資料の)3ページに(明細書の様式)がありますよね。それが国立の様式なので......(不要ということ)。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい、失礼しました。(中略)


【目次】
 P2 → 「正当理由ない限り、全患者に無料発行」を提案 ─ 厚労省
 P3 → 「こういう方向でお願いしたい」 ─ 勝村委員(支払側)
 P4 → 「個人情報が出てトラブルを生じることを危惧」 ─ 渡辺委員(診療側)
 P5 → 「プライバシーが出るリスクが非常に高くなる」 ─ 嘉山委員(診療側)
 P6 → 「めちゃくちゃな患者さんが一杯いる」 ─ 邉見委員(診療側)
 P7 → 「保険者が全患者に渡すのが一番」 ─ 西澤委員(診療側)
 P8 → 「医療内容や価格を教えてもらう権利がある」 ─ 白川委員(支払側)
 P9 → 「無理矢理押し付けて渡さなければならないのか」 ─ 鈴木委員(診療側)
 P10 → 「いろいろな観点が混ざって議論の収拾が付かない」 ─ 小林委員(公益側)

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス