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「いいチームになった」 ─ 揺れた中医協の診療側に一体感

■ 「中医協を改革する」 ─ 診療側に一体感
 

 昨年8月、衆院総選挙で民主党が圧勝。9月、政権公約に「中医協改革」を掲げた新政権の誕生で中医協も揺れた。「日本医師会の執行部を外すか」─。中医協に対するメディアの関心も高まった。
 診療報酬改定を審議する中医協に対しては、「開業医を中心に組織する日医が強い発言力を持ち、病院勤務医に不利な改定がなされてきた」などの批判があった。

 本格的な審議に入っていなければならない10月、診療側の人事などをめぐって1か月の空白ができた。「4月の改定に間に合うのか」と審議の遅れを不安がる声もあった。
 10月30日、ようやく新体制の中医協がスタートしたが、診療側委員の足並みは揃わず。"空白の1か月"を追い風に、入念な準備を整えていた事務局(保険局医療課)のペースに付いていくのが厳しそうに見えた。

 11月から週2日、1日4時間以上、そして大量の資料─。特に、地方の委員にとってはハードなスケジュールだった。水曜日の審議を終えてすぐに新幹線に飛び乗り、翌木曜日に再び東京に前泊して金曜日の早朝から集中審議。これが毎週続いた。

 医療課も巧みだった。「○○について、どのように考えるか」という試験問題のような形式で放り投げ、中医協を"ガス抜き"の場にした。今回も、事務局が委員らを先導した改定だった。
 背後に専門的な政策集団を持たない診療側の委員は時折、主張の一貫性や継続性を欠いた。診療所の再診料引き下げに見るように、最後は厚労省と支払側、そして公益委員らの強力タッグによって"抑え込み一本"だった。

報道関係者0212.jpg しかし、ここに来てようやく診療側委員に一体感が見え始めた。「昨晩、一気に書き上げた」(嘉山委員)という診療側の声明文には、「今後の中医協を改革することを決意いたします」とある。

 「国民および(中略)すべての医療人が、医療を社会的共通資本としてとらえ、医療のグランドデザインを議論し、健全な医療体制を構築、育成することが、現在の医療崩壊や今後さらに進行する医療崩壊を止める」─。厚労省主導ではなく現場から積極的に政策提言して改革していく、そんな意気込みが感じられる。

 会見の最後で、邉見委員は次のように述べた。
 「嘉山委員の(席の)後ろでいつも伊藤さんがタスクフォース的にいろんな助けをした。(ほかにも)日病協の山口さんとか全自病の小堀さん、松本さんなどがいる。我々もスタッフをつくっていかないと駄目だろうと思っている」

 なお、診療側委員の感想は次の通り。

[日本病院団体協議会事務局]
 それでは、大変お待たせいたしました。これより中医協の診療側委員の先生方の記者会見を始めさせていただきます。(午前11時半から)約1時間を予定しておりまして、12時半を目途に終わらせていただきたいと思っておりますので、よろしくご協力をお願いいたします。それでは診療側の先生、ご発言をどうぞよろしくお願いいたします。

[邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長、全国自治体病院協議会会長)]
 まず、(中医協改革を決意する)声明文を用意しているのですが、今、印刷に少し手間がかかっておりますので、声明は最後に(作成者の)嘉山委員(山形大学医学部長)から話をさせていただいて、皆さまに配布していただきたいと思っております。
 それまでに、まず今回の改定について各自の感想と言いますか、自分の思うところを述べていただきたいというふうに思います。(席の)向こう側のほうから......。

[三浦洋嗣委員(日本薬剤師会理事)]
 はい。

[邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)]
 順番に、三浦委員から。


【目次】
 P2 → 「中医協を改革する」 ─ 診療側に一体感
 P3 → 「まだまだ納得できるものではない」 ─ 三浦委員(日薬)
 P4 → 「再診料の引き下げは残念」 ─ 鈴木委員(茨城県医師会)
 P5 → 「誤解の下で議論や対立があったことは残念」 ─ 西澤委員(全日病)
 P6 → 「日本の制度疲労が一番露呈している場が医療」 ─ 嘉山委員(山形大)
 P7 → 「元凶は財務省、越権行為のように踏み込んだ」 ─ 安達委員(京都府医師会)
 P8 → 「歯科の審議が少なく、消化不良だった」 ─ 渡辺委員(日歯)
 P9 → 「肉体はしんどかったが精神的には楽しかった」 ─ 邉見委員(全自病)

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