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ニュース〜医療の今がわかる

「いいチームになった」 ─ 揺れた中医協の診療側に一体感

■ 「誤解の下で議論や対立があったことは残念」 ─ 西澤委員


[西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)]
1. 全体的な感想
 西澤です。まず、今回の改定の印象ですけど、まず改定率ですが、ネット(全体)で10年ぶり(プラス)ということは評価したいのですが、私たちが期待したのは、「もう一桁違うな」と思っておりました。そういうことで非常に限られた財源の中で、この短期間で改定の内容を決めるということは非常に辛かったなと思っております。

 また今回、委員が大幅に変わりまして、私たち2号(診療)側も大幅に変わったわけですが、最初は非常に不安を持って臨みましたが、やはり新しく選ばれた先生方を含めて、皆さんがやはり「医療を良くしたい」「国民に質のいい医療を提供したい」という思いは一緒でございますので、(厚労省の事前レクの後などに)打ち合わせをしている中で、だんだんお互いのことが分かるし、「向かっている所は一緒だ」ということで、「非常にいいチームで今回改定に臨めたんじゃないかな」と思っております。

2. 反省点
西澤寛俊委員0212.jpg ただ、「改定率」、あるいは(診療報酬改定の)「基本方針」というものは他の所で決められる。改定率は内閣府、基本方針は社会保障審議会の医療部会、医療保険部会で決められる。「その枠の中で項目だけを検討する」ということでございますので、ある意味で、「もう少し自由度がほしい」、そのように思っておりました。

 私たちは現場にいる専門職でございますのでもう少し、私たち専門職と言いましょうか、その意見を入れられるような改定議論になってくれればよかったなと思っています。

 (中医協では)この診療報酬改定......、と言いましょうか、そこだけをやっていますが、実は日本の医療制度、あるいは医療保険制度というのが基盤にありまして、それに則ってやっているわけなんですが、なかなかそういうことをですね、きちっと議論する時間もなかった。その中では、お互いに誤解と言いましょうか......。

 私もそうなのですが、実はあまり(診療報酬)点数表の細かい所までは私もよく存じておりません。恐らく1号(支払)側とか、公益側の方々は医療の現場にいないわけですから、本当に細かいところは把握していないと思います。
 そういう中で、(明細書の発行に伴う人的、物的コストの負担増など)もう少し私たちもきちんと現場を説明しながら、......(議論が)できればと思ったのですが、そうしたことがないが故に、一部誤解の下でいろんな議論とか対立があった。これは非常に残念だなと思っております。
 もう少しきちっとした......、(医療側と保険者が協力して患者への情報提供に努めるなど)「お互いにいろんな制度の理解の下での(別の)議論があって(も)よかったんじゃないかな」と思っております。

3. 今後に向けて
 それとやはり、「国民になかなか分かっていただけない」ということでございます。本当に今日、マスコミの方々、多く来ていただいておりますが、最近、新聞等々にも報道されているのですが、どの程度、本当の意味での医療保険制度、それから診療報酬というものを国民の方が理解しているのかと......。
 そういう辺りは、若干疑問がないわけじゃございません。私たちもやはり国民に理解していただくような努力はしていかなければならないなと思っております。本当の意味での国民の声を反映した医療制度、医療保険制度、それに基づく診療報酬体系に今後していければと思っております。

 それとやはり今回考えたことは、いろいろな点数が付くとか、いろいろなことでもって、私たち現場がどうこれで変わるのかなと。やはり現場は医師、看護師をはじめ、非常に疲弊してございます。
 今回、この改定で医師とか看護師がどれだけ働きやすくなるのかなと。そしてやっぱり仕事にですね、誇り、あるいは達成感を持って私たちはやっていきたいと思っていますので、「それにどのような影響を与えるのかな」ということをかなり常に考えながら臨んだつもりでございます。
 そういうことで、この4月以降ですね、その辺りはどう変わったかということも、これから私たちはきちっと検証していかなければならないなと思っております。以上でございます。

[邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)]
 ありがとうございました。それでは嘉山先生、お願いいたします。


【目次】
 P2 → 「中医協を改革する」 ─ 診療側に一体感
 P3 → 「まだまだ納得できるものではない」 ─ 三浦委員(日薬)
 P4 → 「再診料の引き下げは残念」 ─ 鈴木委員(茨城県医師会)
 P5 → 「誤解の下で議論や対立があったことは残念」 ─ 西澤委員(全日病)
 P6 → 「日本の制度疲労が一番露呈している場が医療」 ─ 嘉山委員(山形大)
 P7 → 「元凶は財務省、越権行為のように踏み込んだ」 ─ 安達委員(京都府医師会)
 P8 → 「歯科の審議が少なく、消化不良だった」 ─ 渡辺委員(日歯)
 P9 → 「肉体はしんどかったが精神的には楽しかった」 ─ 邉見委員(全自病)

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