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「55年通知」をめぐる議論を開始 ─ 中医協(7月14日)

■ 「他の制度を整備しないと動かない」 ─ 嘉山委員
 

[嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)]
 「がん対策基本法」の一番の眼目は、均てん化。つまり、がんセンターだけが良い治療をするということではない。北海道から東京、沖縄も含めて、国民に均一ながん治療を施すことが「がん対策基本法」の眼目。

 ですから、白川先生は「がんセンターは日本で最高の......」とおっしゃるが、がんセンターで世界最高の医療をやっても効果がない患者さんがいる。
 そういう患者さんに対して全部、がんセンターで治療できるわけではないので、各都道府県のがん拠点病院にお願いする。そういう場合に、「東京では認められたが、どこそこでは認められない」という現実がある。

 制度を動かすには、周りにあるいろいろな制度が健全化していないと動かない。例えば、邉見先生がおっしゃったように、「副作用が出たらどうするのか」ということもある。これは整備されていない。適応外を使ったときの免責をどうするか。そういうほかの社会制度を整備していかないと、「55年通知」だけでは動かない

 ですから、例えば、中医協で結論は出さないまでも、遠藤会長に「ドラッグ・ラグは絶対に解消したい」とおっしゃっていただいたので、我々(中医協から)の提案でもいい。

 外口先生(保険局長)、これは前任の医政局の問題だが、例えば、副作用被害救済制度とか、医療過誤訴訟とか、そういう問題があるので、なかなか「55年通知」が動いていない。

 実際、それで取り残されたのが"がん難民"といわれる人たち。本当なら、治療で生きることができる人たちが命を失っている。これをなんとか中医協で。1つの提案でもいい。そうでないと、どこも議論する場がない。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 分かりました。ちょっと、(発言)よろしいだろうか。


【目次】
 P2 → 「がん患者の命がかかっている」 ─ 嘉山委員(診療側)
 P3 → 「画一的、一律的に運用されるものではない」 ─ 佐藤課長
 P4 → 「全国標準化でやることが大事」 ─ 安達委員(診療側)
 P5 → 「何が問題なのかよく分からない」 ─ 白川委員(支払側)
 P6 → 「機械的に査定される可能性が多々ある」 ─ 安達委員
 P7 → 「中医協で対応して制度設計すべき」 ─ 嘉山委員
 P8 → 「標準化が必要ではないか」 ─ 邉見委員(診療側)
 P9 → 「最先端のがん治療と一般病院は違う」 ─ 白川委員
 P10 → 「他の制度を整備しないと動かない」 ─ 嘉山委員
 P11 → 「仕組みを提案するレベルまで中医協で」 ─ 遠藤会長
 P12 → 「単独で『55年通知』ということではなく」 ─ 佐藤課長

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