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ニュース〜医療の今がわかる

村重直子の眼15 長尾和宏・長尾クリニック院長(3)


長尾
「そこんところ、基本的に病院というのはあまり長居する場所じゃない、終わったらとっとと帰る場所なんだということを国民に啓発しないといけないんだけれど、相当に時間がかかるなと思います。これはまさにメディアがそういう風にしちゃったわけです」

村重
「病院というのは感染のリスクもあるし危険な所なんです。でもなおかつ行かなければならない場合というのは、行かなければならない位に自分の具合が悪い、つまり診てもらうメリットの方が、危ない所へ行くリスクを上回る時に行くものであって、そうでなければ危ないのだから近寄ってはいけないということを、知っていただきたいですね。本に少し書いたんですけど、アメリカの患者さんは、とにかく一刻も早く帰りたがるんです。誰一人いさせてくださいという人はいないんですけど、日本の患者さんは、心配だからもう少しいさせてくださいって」

長尾
「そう、みんなそう。お願いやから、あと1週間だけ置かせておいてくださいと言うわけですね。その文化があるわけですね。

話が変わりますけど、療養型病床というのがね、日本慢性期医療学会というのがあって、とにかくハコモノをどうするかということで難しいんだけれど、ハコモノというのは日本の文化でもあるんです。だからリスクを許容したうえでのハコモノというかでないといけないんだけども、だから厚労省も今ハコモノをどうしようかで迷っているし、ユニット型か大部屋かというのも、色々と議論されてて難しい。だけれども、今回相部屋OKとなったわけですね。当然そういうリスクもあるということで、リスクがあるということをもっと理解してもらわなあかんし。

結局ね、小松秀樹先生は頭がいいから、あんなに難しい文章で書いたけど、まさに医療の不確実性じゃないですか。リスクというのは常にあるんだ、ということをどうやって分かってもらったらええのか。それをやらない限り、なかなか難しいなと。

文章の中で、三重苦の中で頑張っている帝京大学の職員にエールを送りたいと書いたら、それに対してまた非難が来る。なんであんなヒドイ病院の職員にエールを送るんだと。それは今患者がいて普段の診療もして、取り調べも受けて、内部調査もしてと三重苦の中で頑張っている人は当然大変なんだから、頑張ってもらわないとダメなんですよと書いたって分かってもらえない、そんな当たり前のことを。やっぱりね、こういうところから始めないかんいうことで。

先生からまさか市民とか患者さんとかいう言葉を言っていただけるとは思わなかった、偉い人だと思ってたから、雲の上の人だから。でもね先生みたいな偉い人が患者さんと一緒にやると本当にすごくインパクトがあって、変わる起爆剤になるし、現場からの強みもすごくあって市民と一緒にやる強みもあるんで、ぜひ。厚労省の偉いさんが山谷のホームレスの人たちの世話もしてとか言ったらみんなビックリするわけですね、でも一緒なんですね、患者さんとして見た場合には、医者って元々そういう職業ですからね。立場にかかわらずやれるということを身をもって先生に示していただいたり、時には病院にもね帝京大学にも行って、火中の栗を拾うじゃないけれども、やっぱりですねえ、縦横無尽に直子先生が行くというのを僕らは期待するし。

要するに女性にヒステリックに言われたら男性って何も言えないじゃないですか、厚労省でも医者でもどこでもそうですけどね。だけど人の悪口をガンガン言ったとしても、じゃあ自分は何をするのかという所が醒めた人からするとそういうところがあるんで、村重先生も何をされるのかすごく楽しみなんですよ。だからどこで働いてはるのかな、厚労省を辞めて一体何をしはんのやろうと思ってて」

村重
「診療所で働いております」

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