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ニュース〜医療の今がわかる

医師の不足数は2.4万人? 5.2万人? 12.5万人?

■ 「この国が医療費を100兆円使うのは難しい」 ─ 西村委員


[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
 3人の先生からお話を伺いました。大変急がせていまいまして申し訳ありませんでした。

 これから自由討議、またはご質問、意見の時間にさせていただきます。どなたでも結構でございますので......。ご質問でもご意見でも結構です。何かご質問、ご意見ありましたらお願いいたします。

 (しばらく沈黙)

 どうぞ、西村委員。

 ▼ 前回会合での発言はこちら

[西村周三委員(国立社会保障・人口問題研究所所長)]
 僭越ですが最初に......。割合、経済の話が出ましたので......。3人の方に相互に関連する感想というか、質問をしたいと思います。

 主に、本田先生の話ですが、私、現場の気持ちは大変よく分かるのですが......。まず、「増やすべき」ということを大前提で議論したいと思っているのですが、先生のお話によると、これから(医師を)12万5000人程度増やすというイメージで......、まあ、はっきりとはおっしゃいませんでしたが、そういうお話......。

 先ほど堺先生(日本病院会会長)のお話では5万人増やすにはどれぐらいのお金が......という試算を......。で、先にちょっと感想を申し上げますと、5万人ぐらいの増であれば私は財源的にもそんなに大変なことではないと推察いたします。

 しかし、12万5000人となると、これは大きな、まさにグランドデザインを変えるというお話になろうかと思います。

 そこでちょっと質問ですが、(本田先生は)救急医、麻酔医、そういった人材が不足しているというお話をされまして、私も大変これは緊急の課題で......。

 まあ、私個人としては救急をやってはじめて医療の値打ちがあると思っておりますので全く賛成でございますが、ちょっと謎がございます。(中略)

 (本田)先生はアメリカの数字を挙げられました。わずかに日本と比べて多いだけのアメリカで、そういう救急医、麻酔科医、がん関連医があれだけ充足しているということは、どこか違う所に足りないところがあるということではないでしょうか、これが質問です。

 先生は地域偏在の話もされました。恐らく、私もアメリカの正確なマップの数字は存じ上げませんが、地域偏在という観点から言うと、恐らく日本よりもはるかにアメリカの偏在が大きいのではないか。まあ、これは推測......、間違っていたら教えていただきたいと思います。

 そうすると、12万人増やすグランドデザインと、5万人程度増やす場合のグランドデザインはどのように違うかということが大きな課題になると思います。(中略)

 日本は今、医療費を35兆円ぐらい使っていますが、アメリカは100兆円ぐらい使っています、日本の人口規模に縮小して。そうするとね、アメリカ並みの医療をしようとすると......。

 いつも私が奇異に思いますのは、医師の先生方はアメリカと(日本の)状況を比較されます。それは、天と地の差であって、お金の使い方人口当たり2.5倍です。高齢化の話をもちろん......、やると2倍ぐらいになると想像しますが......。お金の使い方が2倍ぐらい違う。(中略)

 ここの場で議論できるか分からないぐらい大きな議論です。この国が100兆円ぐらい医療費を使うことができるかどうか、例えば15年後ですね......。(中略)

 藻谷浩介さんという方が「デフレの正体」という本を書かれています。今、医師だけではなくて、経済的にも地域格差が拡大しているんです。従来の産業構造はほとんど生産年齢比率によって経済の活動が説明できるという話をしておられます。

 私は異論があります。異論はありますが......。正しい産業を興すことによって......。それは(本田)先生のご意見に賛成で、医療・福祉というのは......。そういう観点から言うと、私はライフ・イノベーション(医療・介護分野革新)はね......。

 これからは恐らく、外需に応えるための医師養成という話も視野にあって、私はそれはいいと思う。つまり、海外に出て仕事をする人も含めるともっと増やした方がいいという結論になるということは当然思いますが......。

 その辺り、先生、私は経済学者なものですから、100兆円は難しいではないかという印象を持つんです。そういう前提の上で、先生、何かいい知恵、アイデアがございましたら、教えていただきたい。

 堺先生のお話に関しては、ちょっと......。この程度......。(笑いながら)「この程度」って言ったら怒られますけど、この程度(約7690億円、年間約513億円という試算)でいいんでしょうかねえっていう......。

 それは別途、ちょっと疑問に......。「もうちょっと掛かるんじゃないか」という推測をしておりますので、もしお考えがございましたら、教えていただきたいと思います。
 

【目次】
 P2 → 「要望の資料は引き続き努力させていただく」 ─ 文科省
 P3 → 「勤務時間に注目すると5.2万人足りない」 ─ 堺院長
 P4 → 「シンプルに計算すると12.5万人不足」 ─ 本田副院長
 P5 → 「医師需給は数の議論だけではない」 ─ 長谷川教授
 P6 → 「この国が医療費を100兆円使うのは難しい」 ─ 西村委員
 P7 → 「経済学者や私でなく国民が決めること」 ─ 本田副院長
 P8 → 「資料を提出させていただきました」 ─ 日医副会長

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