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ニュース〜医療の今がわかる

自治体病院より見た医師不足の要因と対策

■ 県別医師数と大規模病院
 

【長崎県病院企業団企業長】
 次の4ページ目をお開きください。人口10万単位の病院数が多い10県を左側に、少ない県を右側に示しています。C群に属する県が、断然、左側の病院が多い県にあることは、ご覧のとおりでございます。

矢野右人氏資料-07.jpg

 この10県対比では、病院対数が、病院が少ないところと多いところと比べますと、これはものすごい数の病院数の違いということになりまして、両者を比べると病院過剰と、少な過ぎるかというところに行き着くのではないかと思います。

 ただ、ここで病院規模を見てみますと、400床以上の大病院率がどうなっているかを見ますと、病院数が多い県では大病院は非常に少なくて、大病院率は3から6%程度、病院が少ない県では非常に大病院率が高いということが分かります。

 医師が多い県では、小さな病院が多数存在し、管理職、当直、その他に人員がとられまして、非常に多忙になっています。これは医師の勤務環境が非常に悪くなっているということが言えるわけでございます。

 医師不足が叫ばれる中、病院数が少ない県では、比較的大病院が多くて、結果的には医療の集約化が進んでいるとさえ、これは理解できるところでございます。

 一方、下の表をご覧いただきたいと思います。

矢野右人氏資料-08.jpg

 これは自治体病院で、小規模病院は非常に多くて、特に市立・町立病院では極小病院が多いということでございます。常勤医師が5名以下が25.3%とありますし、常勤医師が3名以下の病院が13.4%を占めているわけでございます。

 常勤医師が3名以下で24時間経営の病院を開設すること自体、これは医師にとりまして労働条件が問題外でございますし、医療のレベルを保てるわけがございません。

 ましてや、これは自治体が責任を持てる病院かというと、存在が許されることではないというぐらいに小さい病院が多く、ここが病院崩壊ということにつながってきている問題だと思います。

 ただし、この小病院の936病院のうち、5名以下236とありますけど、この中で北海道だけは一番これが多いことでございまして、ちょっと特殊というふうにご覧いただきたいと思います。
 

【目次】
 P2 → 医師が多い県、少ない県
 P3 → 県別医師数と患者数の相関
 P4 → 県別医師数と大規模病院
 P5 → 長崎県は医師偏在の典型
 P6 → 長崎県の医療圏別医師増減数
 P7 → 医師偏在の理由
 P8 → 長崎県の医学修学生制度
 P9 → 地域枠(義務年限)養成医の問題
 P10 → 医学奨学金全額返還の時期、理由等
 P11 → 長崎県の医療体制の在り方

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