ロハス・メディカルvol.113(2015年2月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年2月号です。


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力しています。眠りが妨げられている昨今では、睡眠に対する要望がかなり増えています。コンピューターや情報機器が発達していることもあり、睡眠に関する装置の開発に拍車がかかっているようです。 その典型は睡眠を測る装置です。睡眠を正確に客観的に捉えるには、脳波、眼球の動き、筋電図など複数の指標を測る終夜睡眠ポリグラフ検査が必要になります。ただし、この検査は専門の機関でないと行えません。そこで、身体の動き(活動量)を測って、睡眠・覚醒を推定する装置が開発されてきました。っている時間をもっと有効に使えたら、と考える方は多いのではないでしょうか。睡眠中に英語や公式などを覚えることができたら、仕事や勉強がはかどるに違いありません。 この「夢」をかなえようと、昔、睡眠学習器なるものがありました。枕にカセットレコーダーを仕込んで、覚えたいことを睡眠中に繰り返し聞く装置です。発売元は当然、効果があるとうたいますが、本当に(科学的な意味で)効果があったかは分かりません。 私たちの希望をカタチにするために、技術者は日夜、努置はやはり限られてるのが現状です。 なかには、眉唾のものもあります。例えば、ある測定器を使って数時間の睡眠を小刻みにとれば、まとまった長い睡眠をとらずとも快適に生活できるとして売られている装置があります。充分な量の睡眠をまとめてとることを軽視している方々にとっては朗報でしょう。実際、ネット上では好評を得ているようです。 しかし、2時間程度の睡眠を幾度かとれば私たちの生活は問題なしとする根拠はどこにあるのでしょうか。睡眠の科学的研究は、そうした見解を支持しません。この装置の開発者がもしその根拠を持っているならば、公に示すべきです。 睡眠は「見える化」しにくいのが後回しされる主な原因です。その意味で各種の睡眠測定器には価値がありますが、その限界をわきまえて使うのが肝要です。第48回たかはし・まさや●1990年東京学芸大学教育学部卒業。以来、仕事のスケジュールと睡眠問題に関する研究に従事。2000年、米国ハーバード大学医学部留学。独立行政法人労働安全衛生総合研究所作業条件適応研究グループ・上席研究員高橋正也 手首に着ける活動量のセンサーはかつて、かまぼこの板ほどに大きなものでした。それがマッチ箱程度になり、今では10円玉サイズにまで小さくなっています。 こうした使いやすさは大事ですが、開発者にとってより重要なのは、得られたデータから睡眠の量と質を確かに測れると証明することです。 そのためには、実験を行い、分析した結果をまとめた論文を専門の雑誌に投稿し、専門家による審査を経て、掲載しなければなりません。これらの作業はかなり大変です。しかし、こうした手間をかけなければ、自称の睡眠測定器となってしまいます。現在、いくつもの装置が発売されていますが、大半は自称です。 終夜睡眠ポリグラフ検査に近づけようと、脳波や眼球の動きなどを測定する小型の装置も売り出されています。ただし、正確に測定できるかどうかを論文で証明している装眠LOHASMEDICALLOHASMEDICALVOICE


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