ロハス・メディカルvol.114(2015年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年3月号です。


>> P.29

第43回どい・ゆうこ●1978年東日本学園大学(現・北海道医療大学)薬学部卒。病院勤務後、93年に(株)第一臨床検査センター(現アインファーマシーズ)入社、薬剤師研修を担当、2009年より現職。神戸薬科大学非常勤講師、北海道大学大学院非常勤講師、帝京大学非常勤講師として、「薬剤師教育指導論」や「リスクマネージメント」を教えている。 さて、その概要によると、6割以上の場所で人口が半分以下になり、2割では無居住化が起こるそうです。 この人口変化は、高齢者の増加と若者の減少の結果で、様々な国家的問題をひき起こします。特に深刻なのが、税収と労働力の不足です。 介護の側面からは、東京・大阪・名古屋の3大都市圏以外での高齢者人口が2025年にピークアウトする一方、東京圏は2050年に向けて急増するため介護施設が不足します。その結果、3大都市から地方都市への高齢者の流入が起きることが予測されま土交通省から2014年7月に「国土のグランドデザイン2050」が発表されました。これは、急速に進む人口減少や巨大災害の切迫など、国土形成計画(2008年閣議決定)策定後の大きな状況の変化や危機感を共有しつつ、2050年を見据えた、国土づくりの理念や考え方を示すものです。医療計画とも密接に関わってくるものです。 2050年は遠い未来のように感じますが、現在25歳の若者が60歳になった時のことですからリアリティのない話ではありません。(株)アインファーマシーズ上席執行役員土居由有子す。介護受け入れ可能地域は、日本全国の住民票を持った患者を受け入れることになりそうです。 医療の側面からは、高齢化に伴い、治すことを最優先する急性期病床は減少し、その代わりに患者のQOLを維持するための維持医療や寄り添い医療提供が増加することは容易に想像できます。そのような地域においては、薬局薬剤師の貢献度は大きいと考えられます。患者は近隣の生活圏内の医療機関や薬局を第一選択とするでしょう。病院に患者が受診するのではなく、医療スタッフがチームで患者2050年の薬局どうなっているか国の住居へ出向くことも現在よりもっと盛んになるでしょう。 ただし、一定の人口を確保しなければ都市は機能しません。一定規模の都市への人口集約が起こります。市町村合併や病院の統廃合が避けられないことも容易に予測がつきます。 人口が何人いると、どのようなサービス施設が作られるかという指標があり、人口500人以上になると「郵便局」が一番初めの公共サービス施設として作られることになっています。しかし実は、2014年現在、保険薬局は約5万5千軒あると言われ、郵便局(約2万4千軒)やコンビニエンスストア(約5万3千軒)の数を上回っています。当然、薬局も激減することでしょう。 35年後、どこでどのように必要とされるのか、薬局のあり方を、今から考え始めても早過ぎることはないのかもしれません。LOHASMEDICALVOICE29LOHASMEDICAL


<< | < | > | >>