ロハス・メディカルvol.126(2016年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年3月号です。


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LOHASMEDICALVIEW前回の記事で、化血研が国内自給の国策、安定供給、法令遵守の三者を満たせず法令を破った、と指摘しました。法令遵守を大前提とするなら、国内自給の国策と安定供給のどちらかを守れなかったということになります。よく考えてみると、この二者の両立、意外と難しいことなのではないでしょうか自給と安全・安定供給無条件には両立しないては、献血、安全性、安定供給の3点が重要。」という1行もありました。 3点が重要ということ自体には全く異論ありません。ただし、必ず3点同時に満たさなければならないとすると、化血研が陥ったアリ地獄のようなことになりはしないでしょうか? 前回も少し書いたように「献血による国内自給」が血液法に明記されたのは、血友病の方などに多くの感染者を出した薬害エイズ事件が契機となっています。 つまり、この国策の底流にあるのは「安全な製剤を製造するため、海外から得られる原料や売血を使わない」という考え方です。先進国の責務として、海外から血を買い集める「吸血鬼」になってはいけないから自給が必要なのだ、との主張もありますが、仮にリスクが高いと分かっていても国産だけ使いますか? と質問した時に、どういう答えが返ってくるか想定してみれば、優先度が最も高いのは「安全」ということで納得いただけるはずです。そして製剤によっては、供給されないことで患者の生命が危険にさらされるというものもあるので、安全と並んで安定供給の優先度が高いことも自明です。 よって、献血(国内自給)は、安全と安定供給を達成するための手段で、3項目中での優先度は最も低いはずだけれど、法に明記されているので厚労省としては追求せざるを得ないという現状が分かります。国内自給を最優先して製剤の安全性や安定供給が損なわれたら本末転倒なので、タスクフォースでも議論になっているということなのでしょう。 ところで血液製剤には、化血研などが製造している血漿分画製剤だけでなく、日本赤十字社(日赤)が製造販売している輸血用血液製剤という血研の問題を受けて厚労省内に設置されたワクチン・血液製剤産業タスクフォースの1回目会合(1月14日に非公開で開催)は1時間開かれていたはずなのに、公表された議事概要は、たった6行でした。その秘密主義に呆れるのですが、ひとまず憤りを棚上げして6行を眺めてみると、「国内自給の原則をどう考えるかは大きな論点。」という1行がありました。また、「血液製剤分野につい本誌編集発行人 川口恭化血研不正から見えたもの②本当に安全なのか化18


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