ロハス・メディカルvol.126(2016年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年3月号です。


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はこやま・こうた●北海道大学医学部医学科4年生。2月に休学して、妊婦エプロンと一緒に世界一周放浪中。チリでは、妊婦体験をした男性が突如出産シーンを始めてくれました!夫さん世界一周プロジェクト」を、かれこれ10カ月以上続けてきました。実際のところは、移動や観光の日を除く3日に1日しか妊婦体験ジャケットを着けていませんが、もし本当にお母さんであれば、赤ちゃんが産まれてくるくらいの時間が経ったことになります。そんな時期になって、しばらく活動を休んでいました。 ザンビアの首都ルサカで、同じく大学生の旅人と話をする機会がありました。彼の旅は「テーマのないことがテーマ」らしく、自由に色々なことと出合い学んでいるようでとても憧れました。一方で、僕の旅は息苦しいような気がしてなりませんでした。 「妊産婦死亡率を下げてやる!」と理想を掲げて日本を出てはきたものの、自らの無力さばかりを噛みしめる日々です。声をかけても半分以上の人は相手にしてくれませんし、各国の現地語を流暢に話せないので、感想を聞き取れず、理解してもらえたのか手応えを感じられません。「マタニティブルー」ではありませんが、初めての街でジャケットを着けて歩き出そうとする時は、いつも憂鬱でした。 そこで、南米大陸に移ってから、もっと自由に世界を見ようと思い、活動は放っておいて南部のパタゴニア地方でヒッチハイクの旅をしていました。アフリカで頑張ったし、もういいだろうって、どこか思っていました。でも、再び気力が戻ってきました。 のどかなチリの田舎街でスペイン人カップルの車に乗せてもらった時のことです。彼らは英語を話せたので、話題の一つにでも、と僕の活動を話してみました。すると二人はとても感動してくれました。「私は小学校の先生をしていょっとしてみませんか?」と話しかけるのは、それ自体とても面白いです。半分くらいの人は楽しそうに着けてくれて、グッドアイディアだねと言ってくれます。その出会いの積み重ねが僕の旅なんだと、彼らと話す中で気づきました。 今回の旅の悔しさは、将来ガツンと世界に働きかけられる人になるための糧にしてみせましょう! これまでに、31カ国の843人に着けてもらいました。通算1000人をめざし、僕の健康教育の旅は、まだまだ続きます!第10回妊婦体験の旅チリにて再出発箱山昂汰LOHASMEDICALVOICE「妊るけれど、あなたは世界中で先生をしているのね」と言われて、胸が熱くなりました。 理想の実現には程遠いかもしれません。旅人として世界を回っても、お母さんや子どもたちを苦しめている社会構造は見えてきませんでした。しかし、コミュニケーションの一つとして「妊婦体験をち26


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