ロハス・メディカルvol.136(2017年1月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2017年1月号です。


>> P.11

 血中のナトリウムとカリウムは腎臓で濾過されますが、ほとんどのナトリウムは再吸収され、摂取量に見合った量だけ排泄されます。この際、同じ量のカリウムも排出されます。つまり、カリウムに対するナトリウムの過剰状態が続くと、どんどんバランスが悪くなっていきます。逆にカリウムを補ってあげることで、ナトリウムのスムーズな排出を促すことができます。 1980年の国民栄養調査に参加した成人男女8283人を24年間追跡したところ、カリウムに比べてナトリウムの摂取比率が高いグループは、低いグループと比べ、全循環器病死亡リスクが39%高く、そのうち脳卒中死亡リスクは43%高くなっていました。カリウムで塩排泄トリウムカルシウム交換系」という仕組みが働くようになり、カルシウム排出にも役立つことです。 ただカルシウム排出の主役は何と言ってもマグネシウムです。カルシウムが細胞内に入り込むチャネルの封鎖とカルシウムを外に出すポンプの整脈といった心疾患まで招くことになります。 ここに登場した4つのミネラルのうちナトリウム以外が、現代の日本人は、すべて不足気味です。ただし、不足の程駆動というカルシウム排出の2経路に働きます(図)。 これらのカルシウム排出経路がうまく働かないと、例えば筋肉細胞内のカルシウム濃度が高いままとなり、震えや痙攣、血管や心筋での異常な収縮による高血圧や頭痛、さらには狭心症や心筋梗塞、不度に違いがあります。 「現代日本人では、慢性的にマグネシウム不足の『新型栄養失調』が戦後から密かに進行しています」と東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科の横田邦信教授は説明します。マグネシウムの働きの図3つは不足マグネシウムがポンプを駆動するマグネシウムがポンプの起動スイッチを入れる細胞膜カルシウムチャネルMGが封鎖させる=CAの流入を阻止NA-KポンプによるNA排出を受けて作動したNA-CA交換系がCAを排出NA-Kポンプ入入出出出連動CAポンプNA-CA交換系MGMGMGKCACACANA


<< | < | > | >>