ロハス・メディカルvol.138(2017年3月号)

ロハス・メディカル2017年3月号です。リン酸探検隊は本丸の練り物に、体幹トレーニング、長生きを喜ぶ日本へ戻ろう、女性に増える糖尿病、摂るべし新鮮な魚油、主治医との話し方、抗生物質って何?、梅村聡と小松秀樹、都会の公園にも森林浴効果、点眼は間隔と順番が大事など。


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LOHASMEDICALVIEWして使っていました。その後それらの物質を参考に人間が化学合成するようにもなりました。 厳密には、微生物が作り出すものだけを特に抗生物質と呼ぶのですが、社会的には抗菌薬と抗生物質は、あまり使い分けされていません。今回のシリーズでは、皆さんにもなじみの深い「抗生物質」の呼び方で統一することにします。 なお、細菌と並んで病原体の種類が多いウイルスは、細菌と共通する所がほとんどありません。細菌に感染するウイルスもあるくらいです。このウイルス由来のように、細菌とは異なる病原体によって起きている感染症(風邪の多くやインフルエンザなど)に抗生物質は効きません。 また、細菌を殺すのではなく増殖を抑えるタイプの薬の場合、最終的には自分自身の免疫で病原体をやっつける必要があります。 さらに、一口に細菌と言っても、数も種類も極めて多く特徴が異なるので、そのすべてに効くという抗生物質は残念ながら存在しません。相手の細菌を確かめて、その弱点に合ったものを使う必要があります。新しい薬だから、あるいは高い薬だから良いというわけでは、必ずしもないということ、このシリーズで説明していきます。 そして、もしすべての細菌に効くというものが今後登場したとしても、このシリーズで説明するように、メリットよりデメリットが大きくなると考えられます。とにかく、適材適所を心掛ける必要があるのです。 なお、世界保健機関(WHO)では、抗生物質を正しく使うための前提として、防げる感染症を拡大させないため、ワクチンを接種すること、手洗い、より安全な形での性生活、食べ物の衛生的な取り扱いなどを呼びかけています。


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