ロハス・メディカルvol.135(2016年12月号)

ロハス・メディカル2016年12月号です。リン酸探検隊パン花粉症の舌下免疫療法、睡眠と性差、頭を使って空腹の時はトレーニングを、有酸素運動と血管内皮の機能の関係、カルシウムサプリの心臓への悪影響、予防接種って何なの3、オプジーボの光と影7など


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ります。これはとても重要なことなので、処方する側も、きちんと講習を受け、認められた登録医師だけが処方できるようになっています。 実はこの減感作療法は、新しい治療法ではありません。以前から皮下注射として行われていました。ただ、注射の度に受診しなくてはならず、注射に痛みを伴うというデメリットがありました。舌下免疫療法の場合は、もちろん定期的な受診は必要ですが、毎日の服用は自宅で可能で、痛みも伴いません。 薬を舌の下にしばらく置いておくと、粘膜から薬の成分が体の中に取り込まれ、顎の下のリンパ節へ行きます。薬に入っているスギ花粉の情報が、リンパ節に存在する免疫細胞へと伝わり、免疫細胞のバランスに変化が起きます。 当コーナーでは度々恒常性(ホメオスタシス)について取り上げてきました、私たちの身体には、相反する二つの作用があり、それが良い具合にバランスが取れることで、健康な状態を保っています。しかし、一方の作用だけが強い状態が続いたり、頻回に交互に大きく傾きが変わったりすることが続くと、身体に負担がかかり恒常の状態を保てなくなり、病気になっていきます。 最近になって、免疫の領域においても、このような恒常性の仕組みがあると分かってきました。攻撃と抑制、このバランスがうまく取れること詳しいことはまだ分かっていません。 T細胞は聞き慣れない言葉と思います。高校の生物でやっと学習する用語ですので、そういう名前の免疫細胞があると覚えておいてくださればよいかと思います。 T細胞には、他に「ヘルパーT細胞」と呼ばれるものがあります。略して「TH」と書かれています。これにはさらに2種類あり、TH1細胞とTH2細胞があります。このTH1細胞とTH2細胞のバランスが崩れて、TH2細胞が多くなると、アレルギー反応が促進されます。 スギの舌下免疫療法は、Tレグを活性化し、TH2の増加を抑え、肥満細胞にあるIGEとスギ花粉とがくっつかないようにすることで、スギ花粉に対する過剰反応を減らしていると考えられています。したがって、これまでの対症療法とは異なり、根本的な治療が可能です。このため、花粉症は治せる時代に突入したと言われているのです。 花粉症はスギだけではないので、早くヒノキやブタクサの舌下免疫療法も登場するといいですね。LOHASMEDICALVIEW毎回、本文と関係のある本をご紹介していきます。NHKスペシャル取材班著 文藝春秋 2016年永倉仁史著現代書林 2014年もっと知りたい方にアレルギー医療革命花粉症も食物アレルギーも治せる時代に!スギ花粉症は舌下免疫療法(SLIT)でよくなる!で、過剰な反応が抑えられていたのです。 この抑制の働きをする細胞のことを、「制御性T細胞」と言います。通称Tレグ(TREGとも書き、ティーレグと読みます)と呼ばれ、坂口志文・大阪大学教授によってつい最近発見されたもので、5舌の下からリンパ節へ


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