ロハス・メディカルvol.135(2016年12月号)

ロハス・メディカル2016年12月号です。リン酸探検隊パン花粉症の舌下免疫療法、睡眠と性差、頭を使って空腹の時はトレーニングを、有酸素運動と血管内皮の機能の関係、カルシウムサプリの心臓への悪影響、予防接種って何なの3、オプジーボの光と影7など


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でも厚生労働省の統計によって示されています。過去1カ月に不眠が頻繁にまたは時々あった者は男性51%、女性56%でした。 このような性差が体内のどのような特徴に基づくかを調べる研究は昔から行われてきました。現状を見たところ、その謎がはっきりと解明されたとは言えないようです。というのも、参加者の選び方、測定の条件、データの解析法などがそれぞれの研究で異なるため、一貫した結論を得られていないからです。 特に、女性では月経に伴って体内の環境が変化します。眠の良し悪しを決める要因は数え上げたらキリがありません。働き方や住んでいる地域など体の外側ではなく、内側にある要因としても、性別、年齢、人種、病気などが挙げられるでしょう。 年齢については、乳幼児から高齢者まで幅が広いせいもあって、加齢に伴う睡眠の差を捉えやすいのかもしれません。対して、性別は基本的には2つの群しかありません。 大人数を対象に質問紙調査を行うと、「よく眠れない」と回答する割合は、ほとんどの場合、男性より女性で多くなります。このことは我が国足を避けながら、一日の中で何時ごろに睡眠が起こりやすいか、体内時計の変化と共に探れます。 集められたデータによれば、男性に比べて女性は約2時間早く眠りやすい時間帯が来ました。一方の体内時計は男性より約1時間早いことが分かりました。つまり、女性では睡眠の起こりやすい時間帯と体内時計が早いだけでなく、両者のズレも大きいという特徴が明らかになったのです。 体内時計に照らして適切なタイミングで睡眠をとると、すぐに寝つけて熟眠できることが知られています。上記のような特徴が本当であれば、睡眠の悩みが女性で多いのは、少なくとも生理学的には理にかなっているようにみえます。 条件を厳しく統制した研究を通して、不眠の性差が説明できるようになってきたのは望ましいことです。こうした成果を社会として、どのように活用するかが次の課題です。第70回たかはし・まさや●1990年東京学芸大学教育学部卒業。以来、仕事のスケジュールと睡眠問題に関する研究に従事。2000年、米国ハーバード大学医学部留学。独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所産業疫学研究グループ部長高橋正也その上、我が国ではほとんど普及していませんが(1%)、欧米では経口避妊薬を使う女性が一定の割合で存在します(15%以上)。この薬はホルモンの状態を大きく変えるので、それによって睡眠も影響を受ける可能性があります。 月経の周期と経口避妊薬の使用を統制した上で、睡眠と睡体内時計(体温を指標)を20歳代の男女合計26名で比較した研究がカナダで行われました。月経の周期を揃えるために、測定は月経が終わってから排卵までの期間としました。女性11名のうち、9名は経口避妊薬を使ったことがないか、最後の使用から3年以上たっていました。残る2名も測定前の少なくとも1カ月は使っていませんでした。 この研究は、1時間覚醒し、次の1時間は眠るというのを連続3日間にわたって繰り返し、睡眠の深さと体温を連続で測るという手法でした。こうすることで、極端な睡眠不6LOHASMEDICALVOICE


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