ロハス・メディカルvol.135(2016年12月号)

ロハス・メディカル2016年12月号です。リン酸探検隊パン花粉症の舌下免疫療法、睡眠と性差、頭を使って空腹の時はトレーニングを、有酸素運動と血管内皮の機能の関係、カルシウムサプリの心臓への悪影響、予防接種って何なの3、オプジーボの光と影7など


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おおにし・むつこ●医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて基礎研究に従事。LOHASMEDICALVIEWT検査によって数値化したのが冠動脈石灰化スコアで、点数が高いほど、心血管病の発症リスクは高くなります。 研究の対象者は、米政府の支援するMESA(アテローム性動脈硬化症の多民族研究)という疫学研究に参加した6814人から、食事アンケートを提出し、カルシウム摂取過剰でなく、カルシウム排泄に関わる腎機能が正常、エネルギー摂取量が適切で、さらに調査開始時と10年後に すると、調査開始時に冠動脈石灰化が見られなかった対象者で、カルシウムを1日1453㎎以上摂取している群は、カルシウムの摂取量が434㎎未満の群に比べて、冠動脈石灰化リスクが27%低くなりました。この段階では、カルシウムの摂取源として、食事とサプリメントの区別はされていません。 そこから、さらに一歩踏み込んで、カルシウムの摂取法による違いを解析したところ、カルシウムサプリメントを利用している群は、利用していない群に比べて、冠動脈石灰化スコアが22%上昇していました。 最も冠動脈石灰化リスクが高いのは、総カルシウム摂取量が最も少ないグループのサプリメント利用者で、最もリスクが低いのが、総カルシウム摂取量の最も多いグループのサプリメント非利用者でした。 つまり、カルシウムが豊富CTスキャンを実施した2742人が絞り込まれ分析の対象となりました。調査開始時の冠動脈石灰化スコアは、1567人が「石灰化なし」で、1175人は「石灰化あり」でした。 対象者は、サプリメントと食事由来の両方を含む総カルシウム摂取量に基づいて、5グループに分割され、その後、年齢、性別、人種、身体活動、喫煙、収入、教育などでデータを調整されました。粗鬆症の予防や治療のために、多くの人が利用しているカルシウムのサプリメント。しかし実は健康を害するリスクがあること、ご存じですか? このほど、ジョンズ・ホプキンス大学の研究者たちによって、食事由来のカルシウムは心臓の血管(冠動脈)が石灰化するリスクを下げ、逆にカルシウムサプリメントはリスクを高める、という研究結果が2016年10月11日付の米国心臓協会誌に発表されました。 この研究は、食事及びサプリメントからのカルシウム摂取量と、冠動脈石灰化スコアの関係を調査したものです。 冠動脈は、酸素に富んだ血液を心臓へ供給する血管で、それがリン酸カルシウムの沈着によって骨のように硬く脆く変質してしまう現象が「冠動脈石灰化」です。 この冠動脈に沈着したカルシウムの量を、低放射線量C最終回カルシウムサプリ心臓に悪い!?内科医(ボストン在住)大西睦子骨


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