ロハス・メディカルvol.136(2017年1月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2017年1月号です。


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※疫病の感染力を示す数字。麻疹ウイルスの場合は12∼18国立感染症研究所2015年度感染症流行予測調査より編集部にて作成集団免疫率(%)=1-基本再生産数1×100※01234567891011121314151617181920~2425~2930~3435~3940~4445~4950~5455~5960~64年齢(歳)抗体保有率(%)0102030405060708090100免疫を持っていると判定されるレベル弱い感染も予防できる強固な免疫を持っていると判定されるレベルLOHASMEDICALVIEWそれを触った手などによる「接触感染」に加えて、「空気感染」もします。高橋准教授は、「患者と同じ部屋に20分いるだけで伝う染つります。ドアノブなどでも数時間生き残るので、その手で鼻や目を触っても感染するでしょう」と解説します。 一方、感染拡大を阻止するのに集団内で免疫を持っている人の割合がどの程度あればよいか示す「集団免疫率」を、基本再生産数から求めることができ、麻疹では91・7∼94・4%となります(左式)。 現在の日本人は2歳以上の全年代で、95%以上の人が免疫を持っていると判定されるレベルを満たし(グラフ赤色)ています。集団免疫が成立しているはずなのに、それでも感染拡大を許してしまったわけです。ここに麻疹の怖さと排除国ならではの落とし穴とがあります。 ほとんどの方は「かつてかかったことがある」あるいは「予防接種したことがある」から、自分には関係ないと信じていることでしょう。 ところがそうとばかりも言えないことが、分かってきました。免疫獲得後、ウイルスとの接触が全くないと、免疫は弱まったり消えたりしてしまうのです。排除に成功したため自然な流行の起きない我が国では、人々の持っている麻疹への免疫は弱くなっていく一方です。 そして実は、中途半端に免免疫が弱くなる麻疹の抗体保有率


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