ロハス・メディカルvol.136(2017年1月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2017年1月号です。


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200820112014※完全に平等な社会が0、1人に富の集中している社会が1と現される。数値が大きいほど、社会の格差も大きい19961999200220052008201120140.30.40.50.60.250.300.350.40当初所得再分配所得35~39歳:当初所得30~34歳:当初所得29歳以下:当初所得29歳以下:再分配所得35~39歳:再分配所得30~34歳:再分配所得LOHASMEDICALVIEWしながら取り繕っている状況です。 しかも、その社会保障の給付対象が医療・介護を中心として高齢者に大きく偏っているため、子育て世代に限って言えば、ほとんど再分配が機能していません(グラフ②)。子どもの6人に1人が貧困で、その割合はOECDのワースト10位(上から25位)だったという、今年はじめに報じられたニュースをご記憶の方もいらっしゃることでしょう。 そんな国の公的医療保険が、欧州各国よりはるかに高い値段で薬を買っているというのは、根本的に何か間違っていないでしょうか。百歩譲って、これまでに済んでしまったことは仕方ないとするにしても、今後も、出てくる高額な薬すべてを、世界の先陣を切って買い続けるつもりでしょうか。一体どこのお大尽かと思ってしまいます。そんなこと、将来世代に許してもらえるでしょうか。 現実問題として、企業を通じて健康保険に入れない人(非正規雇用者が含まれます)をカバーする国民健康保険は、保険料の半額以上を払ってくれる雇用主が存在せず、国による補助割合も1984年までの45%から近年は32%まで減らされ、被保険者の払う保ジニ係数※の推移世帯主年齢が30代以下でのジニ係数推移険料率がどんどん高くなっています。保険料滞納のある世帯割合は16・7%(2015年速報値)に上ります。この割合は、2008年の20・6%をピークに年々改善してはいるのですが、被保険者たちの経済状態が改善して滞納が減ったというよりも、保険者である市町村が差し押さえをするなど厳しく取り立てるようになり、健康保険制度が貧困層をより貧困に追いやる装置として働き出したのと裏表であるという報道も近年は多く見られるようになりました。健康で低リスクの若い人にとって、何のありがたみも感じ29


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