ロハス・メディカルvol.142(2017年7月号)

ロハス・メディカル2017年7月号です。「口から人生を豊かに」4回目は、喫煙の悪影響。加えて骨も弱くなるようです。品川女子学院の生徒さんたちによるvoice。梅村聡氏の対談相手は、江崎禎英・経産省ヘルスケア産業課長。保険医療に提供格差ほか。


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ます。日本人では、原因不明の高血圧のおよそ3∼4割が前者と見られています。 塩分を多く摂ると、交感神経が刺激されます。その時、食塩感受性の高い人では遺伝子発現に変化が起き、ナトリウム(食塩の主成分)排出が抑制されてしまいます。結果、水分も引き止められて血液量が増え、血圧は上昇する、こと前回説明しました。 つまり、食塩感受性の高血圧は、遺伝的な素因をベースに「食塩の過剰摂取」という環境因子の影響が加わって起きる、というわけです。高齢塩しても血圧が下がらない人もいる」と言いっ放しで終わってしまった前回。「高血圧の予防や改善のため」と減塩に励んでいる人にとっては、ショッキングな指摘だったでしょうか。ただ、この原理を正しく理解すると、明日からの食生活が、グっと豊かになるかもしれません。 これまでの研究で、体質的に、食塩摂取で血圧が上がりやすい人(食塩感受性)と、上がりにくい人(食塩非感受性)のいることが分かってい者や女性、肥満者、慢性腎臓病(CKD)患者などで、食塩感受性は高まっていることが知られています。 食塩感受性の高血圧患者は、通常なら血圧が下がるはずの夜間∼就寝中∼早朝も下がらない傾向にあり、心血管疾患を起こしやすいことが分かっています。日中に食事から摂ったナトリウムが、きちんと排泄されずに体に溜まってしまうためです。 対策としては、積極的に減塩を行い、さらに水分と塩分を尿として追い出す作用のある利尿薬を使って、血圧降下を図るのが有効です。 実は食塩感受性の高い人は、正常血圧の段階で既に心血管疾患のリスクが高くなっており、リスクをさらに上げることのないよう、平素から減塩に努めるべきと考えられます。 残る6∼7割の原因不明の高血圧は、食塩非感受性ということになります。 この高血圧をひき起こしているのは、血管を収縮させ、それによって血圧を上昇させる作用を持つタンパク質です。加齢と共に血管の細胞に変化が生じ、このタンパク質の影響を受けやすくなります。 高血圧と食塩過剰との間に直接の関係がないので、減塩をしても血圧を下げる効果を得られにくい、ということになります。 ここまで読めば、食塩感受性の高血圧と食塩非感受性の高血圧では、取るべき対策も使う薬(コラム)も違って当然、とお分かりいただけると思います。しかし現状、日本の医療はそうなっていません。両者を区別した薬の処方や指導は行われていないのです。 最大の理由は、食塩感受性と非感受性の判別が容易でないこと。自分で判断できないのはもちろん、専門的な検査「減食塩感受性でも見分けが困難LOHASMEDICALVIEW第2回身近な健康話、突き詰めて確かめたことはありますか? 視点を変えると、違う理解につながるかもしれません。味噌汁は高血圧に悪いの?ほりごめ・かなこ●本誌専任編集委員。米ミシガン大学大学院環境学修士。小学生2人の母。文:堀米香奈子イラスト:オオスキトモコオオスキ・トモコ●イラストルポを得意とするイラストレーター。食品の安全性や「食」まわりの記事・イラストを多く手掛ける。武蔵野美術大学卒。3


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