ロハス・メディカルvol.110(2014年11月号)

『ロハス・メディカル』2014年11月号。寝たきり予防にフレイル予防、呼吸同期照射、交代勤務と睡眠、脂質を摂り過ぎると酸化、がんと慢性炎症の関係、即席ラーメンで女性はメタボ危機、アドバンス・ケア・プランニングほか


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と思います。学校で行われるがん教育が基盤となって、まずは保護者に、そして地域の人々にも広く開かれるようになっていくことを期待します。 がん教育では、がんとは何かという解説が必須です。そのためには、基礎的な科学知識が必要となります。 例えば、体は細胞で出来ていて、細胞は分裂して増えるということです。そして、その分裂には遺伝子が関わっていて、遺伝子がコピーされて同じ細胞が出来る、といったことです。さらには、そのコピーの過程でコピーミスが絶えず起こっており、通常ではミスはすぐに修復される、といったことです。 それらを知った上で、仕組みに何らかの異変があり、がんになっていくということを理解する必要があります。自分で異変を知ることができないと分かってこそ、早期発見のために検診を受けることの必要性も納得がいきます。 しかし、これらの仕組み自体を学習するのは保健ではなく理科で、しかも中学で学習することになっています。基本的に学校教育というのは、その学年までに学習していない分野だと、総合学習でも取り上げられないのが普通です。がん教育も同じように考えると中学生まで取り上げられないことになります。 それでは遅いということで、小学生からがん教育を始めた場合、がん教育においては、先に学んだ科学知識が後ほどの理科の授業で出てくることになります。私はそれでもよいと思います。先に知っていた断片的な知識が、授業をきっかけに自分の頭の中でつながって取捨選択されていくことこそ、本当の学習ではないかと考えます。そして、患者さんへの配慮といった感情を先に学ぶことで、科学知識とバランスの取れた理解や行動へつながっていくのではないでしょうか。 これは、がんに限らず、健康や医療全般に言えるのですが、大人にも必要なことです。断片的な新旧の知識を時には整理し、きちんとつなぎ合わせる機会を持ちましょう。 そして、科学知識だけでは生き方を決定できません。そこに個々の感情をうまく融合させることで、病気と向き合った生き方を考え、病気になっても生きやすい社会を、みんなでつくっていきたいものです。LOHASMEDICALVIEW感情と知識のバランス 毎回、本文と関係のある絵本をご紹介していきます。 発刊が古くても解説がわかりやすい本がたくさんあります。また図書館にしかない本もご紹介いたしますので、ぜひお近くの図書館にお出かけください。(非売品)田川滋漫画 橘悠紀構成学研パブリッシング 2013年田沼靖一著PHP研究所 2012年乳がんの親とその子どものためのプロジェクト作黒井健絵小学館 2010年大人にもオススメ子ども向け絵本学研まんがでよくわかるシリーズがんのひみついのちの不思議を探ろう!生命科学の大研究遺伝子からIPS細胞、死生観までおかあさんだいじょうぶ?3ROBUSTHEALTH


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