ロハス・メディカルvol.110(2014年11月号)

『ロハス・メディカル』2014年11月号。寝たきり予防にフレイル予防、呼吸同期照射、交代勤務と睡眠、脂質を摂り過ぎると酸化、がんと慢性炎症の関係、即席ラーメンで女性はメタボ危機、アドバンス・ケア・プランニングほか


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監修/唐澤久美子 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院 第3治療室長ハイマックょうか。 ここで言う線量は、吸収線量(体に吸収された放射線のエネルギー)のことです。それだけ体を構成する素粒子のエネルギーが増えたと言い換えることもできます。放射線の種類によって、総量が同じは放射線の種類によって、同じ線量でも生体に与える影響は異なります。 例えば、半数のマウスに白内障をひき起こす線量が標準X線(基準)で8グレイの時、中性子だと2グレイで同じ影響が出たりします。このようだったとしても、エネルギーの増えた素粒子の密度が異なります。 この密度が高ければ高いほど、DNAを断ち切るなどの直接効果によって細胞に致命的な影響を与える確率も上がります。一定以上の密度になれば確実に細胞を殺すことでしょう。 逆に密度の低い線では、生体へ与える影響は、活性酸素類の発生など間接効果によるものの割合が大きくなります。このため当コーナー6回目の分割照射の回に説明したように、細胞や組織に酸素が少ないと影響も減ります。例えば、腫瘍の酸素が少ない領域に放射線を効かすためには、通常の酸素濃度の組織に効く2∼3倍程度の線量を必要とします。このような酸素濃度による影響を、酸素効果と呼びます。 この(エネルギーが増えた素粒子の)密度は、線エネルギー付与(LET)という指標で示されます。一般に、放射線の粒子の質量が大きいほどLETは大きくなります。X線やΓ線、陽子線などはLETが低く、逆に高いのは中性子線、Α線、炭素イオン線などです。 LETの低い線で、時間あたりの線量(線量率)を少なくしていくと、総線量は同じでも生体への影響は減弱していきます(線量率効果)。これも6回目に説明した生体の修復作用が働くからです。 LETの高い線は、酸素効果も線量率効果も、ほとんどありません。生体に吸収された分だけ、確実に影響が出るということになります。 空気中の飛程が極めて短いΑ線の線源による内部被ばく、あるいは原子炉から出る中性子線が恐れられる理由も、ここにあります。裏を返せば、もしLETの高い放射線を上手に使いこなすことができれば、治療効果も高いということになります。な生体への影響を放射線ごとに比較して示す時は、それぞれの線量の比をとって、生物学的効果比(RBE)という指標にします。先の例であれば、中性子の生物学的効果比は4となります。 なぜ、放射線の種類によって生体への影響に差が出てくるのでし第8回放射線の種類による差実LOHASMEDICALVOICE放射線医学総合研究所の重粒子線治療装置HIMACが治療を開始してから6月で20年になりました。重粒子線治療は、当初それほど期待されていたわけではありませんが、世界をリードする画期的なものだと分かってきました。どう凄いのか、基礎からお知らせします。5LOHASMEDICAL


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