ロハス・メディカルvol.110(2014年11月号)

『ロハス・メディカル』2014年11月号。寝たきり予防にフレイル予防、呼吸同期照射、交代勤務と睡眠、脂質を摂り過ぎると酸化、がんと慢性炎症の関係、即席ラーメンで女性はメタボ危機、アドバンス・ケア・プランニングほか


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LOHASMEDICALVIEW「肺」、翌年度には「肝臓」を組み込みました。前者は放医研で実施されていた速中性子線治療で、後者は筑波大で実施されていた陽子線治療で、共に比較的良好な成績が出ていたため、同じ粒子線である炭素イオン線でも効果が見込めると考えられたのです。HIMACを産み出した対がん10カ年総合戦略の趣旨から言っても、患者数の多いがんに挑むのは当然の選択でした。ただし、これらの臓器は胴体にあり、腫瘍の位置が呼吸と一緒にセンチ単位で動きます。1ミリ単位の精密さで線量を高くする場所と低くする場所を区別できる粒子線の特徴から見ると、とてつもなく大きな変動です。 この難題に対して放医研では当初、腫瘍を逃がさないようビームを広く当てる方法を採りました。ところが、肺に照射した最初の2例で連続して重篤な肺炎が起きてしまいました。炭素イオン線は力が強いだけに、巻き添えを食らった正常組織への影響が大き過ぎたのです。 解決策が、息を吐き切った瞬間だけビームを発射する「呼吸同期照射」であることは、関係者の一致した見解でした。息を吐き切った瞬間は腫粒子線照射でHIMACより約20年先行した米国LBNLは主に難治性がんを治療対象にしており、頭頸部がんの一部、骨軟部肉腫の一部で有効、という程度の成績しか残せませんでした。どちらも患者数のあまり多くないがんです。そのままだったら重粒子線照射は、特殊ながんに対する特別な治療法という位置づけに終わっていた可能性も十分あります。 HIMACは、その流れを踏襲しませんでした。臨床研究の対象に最初の1994年度から患者数の多い放射線医学総合研究所(放医研)HIMACの炭素線照射は、肺や肝臓など胴体にある臓器のがんも対象にできたため、使える患者数の多い普遍的な治療となりました。それを可能にしたのが呼吸同期照射。その技術開発にも、幻となったニューマトロン構想は役立っていました。対象臓器を大きく広げた呼吸同期照射の早期実現世界をリードするHIMACの重粒子線治療重治療2例で中断6LOHASMEDICAL


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