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最期だけでなく「今」をより大切に生きるきっかけを作る、私たちはそう考えています。 超高齢化社会へと突き進む我が国において、終末期医療やアドバンス・ケア・プランニングに関する取り組みは、今後ますます重要性を増していきます。 シシリー・ソンダース女史の言葉にあるように、多くの人が、今をより大切にしながら、最期まで精いっぱい生きられるように、私たちはこれからもこの活動を続けていきます。あなたはあなたのままで大切なのです。あなたは人生最期の瞬間まで大切な人です。ですから私たちは、あなたが心から安らかに死を迎えられるだけでなく、最期まで精いっぱい生きられるように最善を尽くします。シシリー・ソンダース第21回かは必ずしも予測できないため、若くて健康な人から重篤な疾患を持つ人まで、あらゆる患者さんに同じ質問をします。これが可能なのは、〝自分に何かが起こった場合はどうしたいか〟を考えることが、常識の一部になりつつあるた本と米国の病院では、延命治療に関する対応が大きく違います。米国では、高齢になればなるほど、多くの方が〝事前指示書〟という形で、終末期の対応における自らの希望を事前に考え、書面にしています。 病院の側も、〝入院中に亡の場合、最も近しい家族が〝代理人〟として、本人の性格や生き方を鑑み、本人に代わって延命治療の意思決定をすることが可能です。したがって、家族は本人の意思を推察し、喉の管を抜くという決断ができたかもしれません。一方で、現実的には〝人工呼吸器を中止し管を抜く〟という決断を下すのは非常に難しい場合があります。特に、本人が生前元気に過ごしていて、あっという間の出来事だった場合なおさらです。 個人的な経験になりますが、本人が生前に意思表示をしていなかったケースで、家族の決断によって人工呼吸器につながれたまま1年以上も、(見た目上は)意識なく過ごされている90代の患者さんを診たことがあります。医師である自分からは知る由もありませんが、それが本当に本人の望んでいた人生の終わり方だったのか、どうしても疑問に思ってしまいます。2007年東京大学医学部卒業。沖縄県立中部病院での初期研修を終え、2009年から米国ニューヨークの病院で内科研修。2012年からメイヨ―で予防医学フェロー。反田篤志めです。医療従事者にとっては、〝何かが起こる〟前に本人の希望を聴いておくことが、いざという時に強力な指針になるのです。 例えば、私が以前担当した80代の患者さんは、比較的軽症の肺炎で入院しました。独り暮らしで元気にしており、本人を含め誰もが〝この入院中に死ぬかもしれない〟とは思っていませんでした。しかし、抗生剤を始めても状態は悪化。さらに心不全を併発し、病棟で心肺停止。なんとか蘇生しますが、人工呼吸器につながれた状態で意識も戻りません。入院時に聴いておいた本人の意思にはこうありました。「心肺蘇生してもらいたいですが、管につながれた状態で長生きするのも、寝たきりで生きるのも嫌です。もし元のように元気になれないのであれば、自然の成り行きに任せてください」。また本人は、家族にも自分の意思を伝えていました。近しい家族と話し合い、人工呼吸器を中止して、喉の管も抜くことにしました。喉の管を抜いてから数時間後、本人は安らかに亡くなられていきました。 もし入院時に本人の意思を確認していなかったら、もし本人が自分の考えを事前に家族に伝えていなかったら、この方はどうなっていたでしょうか? 現在の米国では多くくなりそうな人〟や〝死期が近い人〟に限らず、すべての入院患者さんに、延命治療の希望の有無について確認することが一般的です。具体的には「入院中に心臓が止まる、呼吸が止まるなどした場合には、どのような治療を希望しますか?」と、単刀直入に尋ねます。入院中に何が起こる入院患者すべてに延命の希望を確認日LOHASMEDICALVOICE31LOHASMEDICAL