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LOHASMEDICALVIEW在の日本では、急性期から在宅にわたる医療、介護の諸分野で、様々なサービスが提供されています。関係する事業主体、事業所、職種も様々です。この多様さゆえに相互の連携は難しく、高齢者が最期まで安心して過ごせるシームレスな体制を地域で構築できているとはいえない状況です。地域包括ケアを、医療、介護を含めた生活全般の質を高めるための支援と捉えれば、その内容は、さらに多様で非定型になります。サービスの提供者側が相互に動きを予期することが難しくなり、連携は一層困難になります。このような中で、どのようにすれば、サービスの断片化を防ぎ、高齢者が最期まで安心して過ごせる体制を地域で構築していけるでしょうか。 国の出した答えの一つは、事業主体の統合です。社会保障制度改革国民会議報告書から引用します。︱︱医療法人等の間の競合を避け、地域における医療・介護サービスのネットワーク化を図るためには、当事者間の競争よりも協調が必要であり、その際、医療法人等が容易に再編・統合できるよう制度の見直しを行うことが重要である。︱︱このため、医療法人制度・社会福祉法人制度について、非営利性や公共性の堅持を前提としつつ、機能の分化・連携の推進に資するよう、例えばホールディングカンパニーの枠組みのような法人間の合併や権利の移転等を速やかに行うことができる道を開くための制度改正を検討する必要がある。 これを受けた産業競争力会議医療・介護等分科会中間整理から引用します。︱︱複数の医療法人及び社会福祉法人等を束ねて一体的に経営することを法制上可能とする非営利ホールディングカンパニー型法人(仮称)を創設する。︱︱複数の法人が一体となることで、病床機能分化や医療・介護等の連携が容易になり、急性期医療から在宅介護・生活支援サービスに至る高齢者が必要とする一連のサービスを切れ目なく、体系的に行うことが可能となる。 国はさらに、統合した事業主体への統制を強める中央集権的アプローチを志向しているように見えます。報告書の言葉から論理をたどると、「都道府県の権限・役割の拡大」によって、今まで以上に現亀田総合病院・地域医療学講座地域包括ケアの戦略︱合理性に基づく標準化8亀田総合病院経営企画室員/社会福祉法人太陽会理事長補佐小松俊平事業主体の統合中央集権的アプローチ27LOHASMEDICAL