>> P.5
第42回どい・ゆうこ●1978年東日本学園大学(現・北海道医療大学)薬学部卒。病院勤務後、93年に(株)第一臨床検査センター(現アインファーマシーズ)入社、薬剤師研修を担当、2009年より現職。神戸薬科大学非常勤講師、北海道大学大学院非常勤講師、帝京大学非常勤講師として、「薬剤師教育指導論」や「リスクマネージメント」を教えている。生や子どもの睡眠不足にもつながっています。仕事のストレスや、職種によっては不規則な勤務体制の影響もあります。疾患関連では、うつ病や睡眠障害、認知症の患者にも現れてきます。 間脳の視床下部にある「視交叉上核」が「生体時計」の働きを持っていると言われています。視交叉上核を整えるには、光が重要なポイントとなります。眼から入った光によって、信号が視神経、視交叉上核、上頸部交感神経節を経て松果体に達します。この松果体でメラトニンが生成されます。回は、日中は寝ていて夜になると起きる「昼夜逆転」を取り上げます。 これは脳に休息を促すホルモンであるメラトニンの分泌が乱れていると考えられます。正常なら、夕方から夜間にかけてメラトニン量が増加し、逆に昼間はメラトニン量が減少します。それが乱れているため、眠るべき時間に眠れなくなるのです。 このような現象が起きる理由として、まずは生活習慣の夜型化があげられます。携帯電話で友達と夜遅くまで話し込んだり、ゲームを夜遅くまでしたりしていることで、学(株)アインファーマシーズ上席執行役員土居由有子 昼夜逆転を直すには、まず生活習慣を改めることで、それに「時間療法」「光療法」「薬物療法」が加わります。 めざすべき生活習慣は、まず朝カーテンを開け日光を浴びる。休日の起床時間は平日と2時間以上ずれないようにする。食事は1日3回規則正しく食べる。特に朝食は必ず食べる。日中に外で体を動かす。仮眠は極力せず、とる場合も午後3時以降は避ける。夕食後にアルコールやカフェインを取らない、といったことです。 時間療法は、寝つく時間を3時間ずつ遅らせ起床時間も昼夜逆転から脱出生活習慣と光と薬今3時間ずつ遅らせるという方法で、目標とする正常な時間に目覚めて眠ることができるようにするものです。一度、正常な時間になったら、そこから外れないよう、生活習慣を保つことが大切になります。 光療法は、体内リズムが整うよう人工的に調整された光を浴びるものです。 薬物療法は、メラトニン受容体に作用する機序を持った医薬品を服用します。海外では、メラトニンがサプリメントとして市販されていますが、日本では市販されていません。メラトニンの材料であるセロトニンの、そのまた材料であるトリプトファンという必須アミノ酸は、サプリメントとして市販されています。自己判断で服用せず、まずは医師や薬剤師にご相談ください。 「昼夜逆転」は、正常に戻るまで大変に時間がかかります。医学的な治療やケアだけでなく、家族や周りの人たちの理解も必要です。LOHASMEDICALVOICE5LOHASMEDICAL