ロハス・メディカルvol.114(2015年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年3月号です。


>> P.2

イズが初めて報告されたのは1981年。それからまだ40年も経っていませんが、今では「エイズ=死」ではなくなり、エイズウイルス(HIV)に感染しても薬によりエイズの発症を抑えることができるようになりました。また、学校教育では、小学校5、6年の保健の教科書に登場するようになり、中学、高校でさらに詳しく学習します。しかし、国内のHIV感染者数やエイズ患者数は増加が止まりません。 エイズは「後天性免疫不全症候群」の英語の頭文字AIDSを取ったものです。その名の通り免疫が不全、つまり働かなくなります。 白血球の仲間にリンパ球というのがあり、その中でもヘルパーT細胞という司令塔のような重要な役割をする細胞があります。HIVは、ヘルパーT細胞に感染し、その数なる機能が知られていないことはとても残念です。エイズでは、この要を失うため、侵入者に体が負けて生命を保てなくなるのです。 一般に正しく知られていないのは、HIVの感染経路も同様です。正しく理解されていないために、過剰に恐れた言動によって感染者を深く傷つける人がいる一方で、肝心の防御対策は疎かになって感染・発症が減らないというアンバランスな状況になっていを減らしていくのです。 3∼10年程度の潜伏期間に徐々に免疫の抵抗力が弱まり、健康な時にはかからない病気になります。指標となる病気は23あり、HIV感染者で一つでも発症が認められるとエイズと診断されます。 ヘルパーT細胞は高校生物で初めて登場します。一般に馴染みがなく、生体防御の要とるのでしょう。 これは我が国に限った話ではなく、そのためWHOは毎年12月1日を「世界エイズデー」とし、知識の普及を呼び掛けています。 HIVは血液、精液、膣分泌液に多く含まれ、性的接触や血液を介して、また母子感染します。このことはよく知られていると思われます。 しかし「血液を介する」、「分泌物に含まれる」という断片が頭に残り、「蚊を介しても伝うつ染るかも」「咳、くしゃみ、汗、涙でも伝染るかも」「握手でも、つり革でも、便座でも伝染るかも」と勝手な解釈を発展させ、それを否定するだけの判断力がなければどんどん過剰になってしまいます。 ヒトの体について従来の学校教育ではあまり教わらなかったためでしょうか。あるいは確実に飛沫感染するインフエLOHASMEDICALVIEW免疫の司令塔を襲うウイルスは皆違う薬剤師。科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」主宰吉田のりまき都道府県が設置する教科書センター一覧は、文部科学省のサイトに掲載されています。HTTP://WWW.MEXT.GO.JP/A_MENU/SHOTOU/KYOUKASHO/CENTER.HTM教科書をご覧になりたい方へ第27回曖昧でなく正しくエイズを恐れよう2ROBUSTHEALTH


<< | < | > | >>