ロハス・メディカルvol.114(2015年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年3月号です。


>> P.3

ルエンザの予防啓発が進んでいるので、その感染経路と混同してしまっていることも考えられます。 ウイルスの特性は個々に違い、当然のことながら感染経路も違うということは、確実に覚えておいてください。エイズを適切に怖がるには、他のウイルスとごっちゃにしてはいけません。 先ほど列挙した勝手な解釈は間違いで、あれらでHIVには感染しません。保健の教科書に明記してあり、子どもたちにきちんと教えられています。 しかし、大人が、いい加減な知識で間違ったことを言ったら台無しです。 血液が付いているものやその可能性があるものには、もちろん十分に気をつけなければなりませんが、蚊は少量の血液しか吸えず、その中に含まれるウイルスも感染するのに十分な量でありません。しかもHIVは蚊の体内で生きることができないのです。 また、血液、精液という言葉から「体液」という用語を連想し、汗も体液の一つだし、分泌物といえばくしゃみも含まれるから危ないと考えてしまうようですが、分泌物すべてにウイルスが多く存在するわけではありません。 また、いくらウイルスがあっても体の表面に付いただけでは感染せず、体の中へ入れた時に初めて感染成立となります。体への入り口となるのが、「粘膜」と「傷口」なわけですが、その理屈もきちんと理解しておきましょう。 粘膜は、皮膚よりも柔らかく湿っていて血管が集まっており、体内へと吸収されやすい部分です。少しの摩擦でも傷つきます。傷口というのは、皮膚の傷が治りきっていないため血管が開いている状態です。ウイルスの侵入口となるわけです。 性的接触は、HIVの多く含まれる液が、粘膜に触れるという状況なので、感染しやすいのが当たり前です。 一方、握手やつり革、便座は通常、HIVの多く含まれる液はなく、粘膜や傷口もないので、過剰に注意する必要はないのです。同様の理屈から、一緒に食事をしても、プールに入っても感染しないということが分かります。 若い世代がもし誤解していたら教えてあげられるよう、正しい解釈でエイズを恐れたいものです。LOHASMEDICALVIEW入り口を開けない 毎回、本文と関係のある絵本をご紹介していきます。 発刊が古くても解説がわかりやすい本がたくさんあります。また図書館にしかない本もご紹介いたしますので、ぜひお近くの図書館にお出かけください。会田法行写真・文ポプラ社 2006年石原尚子著 こどもくらぶ編ほるぷ出版 2005年北沢杏子作 吉永陽子監修安藤由紀・長谷川瑞吉絵アーニ出版 1996年大人にもオススメ子ども向け絵本シリーズ・自然いのちひと10プロイ-HIV母子感染孤児プロイへの手紙―できるぞ!NGO活動エイズにたちむかう貧困と健康エイズの絵本3ROBUSTHEALTH


<< | < | > | >>