ロハス・メディカルvol.114(2015年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年3月号です。


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LOHASMEDICALVIEWると、その効果は、不可解な故障が減るだけに留まりません。 本来の信号だろうがノイズだろうが、導線を電流が流れれば発熱します。暖房器具以外で熱が発生するのは電気の無駄遣いです。それを冷やすためファンを回したりするなら、そこにも電気が使われます。 ノイズが低くなれば、不要な発熱と、その冷却のため使われる電力を削減できるようになります。 またノイズが低くなれば、メインの電流の質が上がります。これは電子デバイスの場合は信号の解像度が高くなるということです(概念図)。信号の電圧を低くしても、読み取り間違えがなくなりますので、直接的な消費電力削減に結びつきます。 さらに先ほども説明したように、対称3線回路は外部の電磁波の影響も受けづらいことが式から分かっています。例えば、回路の設計を変更することで医療機器類の電磁波シールドを簡略化できるかもしれません。そうなれば、その製品は安価になることでしょう。 ここまで良いことづくしだと、すぐ世の中すべての回路を対称3線に変えろと言いたくなると思います。 ただし現段階では、そこまで簡単なことでもないようです。 佐藤氏の対称3線方式は、3本目の線に対して電源も対称に2個置くことになっています。この場合、既存の施設や装置をそのように改造するのは容易なことではなく、建て替えや新商品開発の時に新しく導入するしかありません。電源を1個しか使わないような場合は実現不可能です。 ただ土岐氏は「マクスウェル方程式からの帰結として1電源でも対称3線は実現できるはず。そうなれば、既存施設や装置の改修で実現できることになり、その波及効果は計り知れないので、実験で証明したい」と話します。一方で佐藤氏は、この見解に否定的です。 どちらが正しいにせよ、HIMACが、電気工学と電磁気学の世界に新たな1ページを開いたことは間違いありません。土岐博氏信号を読み間違えないためには、ノイズに影響されないだけの電位差が必要。ノイズが小さくなれば、信号の電位差も少なくて済む。信号ノイズ実際の電流ONOFF電位差が小さいと読み間違いが起きるノイズと必要な電圧の関係8LOHASMEDICAL


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