ロハス・メディカルvol.114(2015年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年3月号です。


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ズによって共振するようなことはないので、佐藤氏のようにノイズ対策をとことん突き詰める人は出なかったと考えられます。 さて、ノイズによって起こるのは、メイン電流の凸凹という装置の品質低下と、想定以上の電流が導線を流れたり想定外の部位に電流が流れたり(アタックと呼びます)した結果の装置故障です。 後者の可能性が疑われる事例として、佐藤氏と土岐氏は共に、電力使用量がそれまでの航空機より格段に大きくなり、熱暴走によるバッテリー発火が相次いでいるボーイング787を挙げます。 バッテリーがなぜ熱暴走したのか、その原因は解明されていません。ただボーイング787で使われる電力量約1メガワットは加速器に匹敵し、そして対称3線方式でない加速器で部品が焼け焦げてしまって交換するのは日常茶飯事だと言います。 土岐・佐藤理論によって、対称3線でない回路では、コモンモードノイズや放射ノイズが「環境」へ流れ込むと分かっています。地上の施設ならば「環境」は「アース」とその先の地面や金属ですが、航空機の場合は機体です。ボーイング787には通常の2線式回路が使われている可能性が高く、HIMACの100倍以上のノイズが発生して機体を流れ、機体を経由してバッテリーへと流れ込んだ電流もあったと考えられます。 電気ストーブでご存じのように、抵抗のある導線を電流が流れると発熱します。発熱が一様ならばそれほど問題にならないのですが、ノイズは不均一です。一部だけを劣化させる可能性があります。ここまでは可能性の話です。 ひとたびバッテリー内部の抵抗が一様でなくなると、相対的に抵抗の低い部分を他より大きな電流が流れるようになり、それがまた内部の不均一さを増幅し、という悪循環が起きて、最終的には一部だけに大電流が流れるようになって発火に至ります。これは熱暴走のメカニズムとして広く受け入れられている考え方です。 もし、このメカニズムでバッテリー発火が起きたのだとすれば、問題の本質はバッテリーの弱さにあるのではなく、ノイズが機体を流れることの方にあります。その対策を講じず、バッテリーだけ強化した場合、今度は相対的に弱くなる他の電子機器へ影響が出てくる可能性もあります。それが機体を制御するコンピュータだったりしたら大変です。 「頼んでも回路を見せてもらえないので推測でしかありませんし、立場をわきまえず出過ぎたマネをする気もありませんけれど、ボーイングや航空会社の人たちには、バッテリーだけに罪を負わせるのでなく、ノイズのアタックの可能性を念頭に置いて対策を取ってほしいと願っています」と土岐氏は言います。 土岐氏によれば、同じような使用電力量のディーゼル気動車、使用電力量は1ケタ小さいながら発電機を積んでいて交流から直流への変換でノイズが発生しやすいハイブリッドカーでも、同様の問題が起きる可能性はあるそうです。JR北海道で相次いでいる車両の不具合も再検証してみる必要があるのかもしれません。 ノイズを低く抑えられるようになLOHASMEDICALVIEW省エネ効果も7LOHASMEDICAL


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