ロハス・メディカルvol.114(2015年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年3月号です。


>> P.24

第18回くしましょう」と発言して叩かれていました。聞いた瞬間は一瞬ぎょっとしますが、私は一理あると思っています。家長が定年まで一つの企業に勤め上げて家族を守るという高度経済成長時代のモデルは崩壊しました。同様に、高度経済成長時代に適合したセーフティーネットとしての皆保険制度にも矛盾が生じるようになってきています。 ですから、もちろん日本の国民皆保険は世界的に見ても非常に優れていて、なくすなどということには私も絶対反対ですけれど、改革すべき弱 昨年末の総選挙、某政党が「夢は正社員になること」と語るCMを流していました。全くもって時代に逆行していると感じました。大切なのは正社員か否かではなく、どのような働き方であっても、等しく収入や社会保障など労働者としての権利が保障されることのはずです。 特に今後は、例えば介護をしながら働く人がかなりの割合で増えるはずですから、短時間労働やワークシェアが広がらなければ、高齢社会を支えられなくなります。先日、竹中平蔵さんが「正社員をな点を放置してまで「堅持」を主張している場合ではないと思うのです。 そもそも現在の医療保険制度は、加入している保険者や組合、つまり職種や勤務形態によって保険料が違うという不公平を抱えています。特に深刻なのは、パートやアルバイトなどの非正規労働者は保険料を全額自己負担して国民健康保険へ加入することになりますが、それを払えず無保険状態になっている人やその家族も増えていることです。所得が低い人にとっての医療保険料の負担感は、年金保険料と合わせるとかなり大きなものとなります。所得水準に比例しているとは言いがたい状況です。保険料支払いが後回しになった結果として、無保険状態に陥っている方が増加しているのです。うめむら・さとし●内科医。前参院議員、元厚生労働大臣政務官。1975年、大阪府堺市生まれ。2001年、大阪大学医学部卒業。国民皆保険をなくそうという人には滅多にお目にかかりませんし、私も維持すべきだと思います。しかし、ただ「堅持」と言うだけではなくて、時代に合わない所は改革してバージョンアップしていくべきです。国民皆保険にある矛盾時代に合わせて改革を働き方によって格差LOHASMEDICALVIEW 日本の非正規労働者は現在約1900万人、労働者約5人に2人の割合と言われています。正社員の方と比べると医療保険の観点からは現状では明らかに不安定な状況と言わざるを得ません。誰もが等しく医療を受けられるという国民皆保険の理念が崩れつつあるということが、ご理解いただけるでしょう。無保険で医療機関にかかれず、病気が重くなって働けずに生活保護という事態に陥っている人も大勢います。国全体のセーフティーネットの在り方としても破たんしつつあるのです。LOHASMEDICAL


<< | < | > | >>