ロハス・メディカルvol.114(2015年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年3月号です。


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えて、現在の医療保険制度には、この格差の問題の他に最低でも三つの改革すべき点があると考えています。 私は、加入者の健康を維持する努力や生活習慣によって保険料に差をつけるべきだと考えています。例えば喫煙者と非喫煙者、肥満の人とそうでない人、健診を受けることを習慣にしている人とそうでない人とでは、明らかに3大疾病などのリスクが違います。しかし現状では、どんな人でも収入と働き方が同じなら、同じ保険料と窓口負担です。 健康に気を使う人ほどメリットが大きい制度にすれば、保険料負担への納得感が増すことでしょう。 これには「差別だ」という反論が予想されます。しかし健康管理をしている人ほど優遇されるというのは、ある意味真っ当ではないでしょうか。 シートベルトをしないで、 私は働き方によらず、できるだけ公平が保障される保険に加入して医療を受けられるような制度が必要だと思います。その場合、今の国民皆保険制度をバージョンアップしながら維持していくのが一番手間やコストも少なく済むと考えます。 そもそも、企業側が非正規雇用を増やす理由の一つに、社会保険料の労使折半した企業負担分を重荷と捉えて忌避している面もあるのでないかと思います。社会保険料を誰がどうやって負担すると納得感が高くなり、どうすれば網から漏れる人を減らせるのか、再検討が必要でしょう。私は思い切って社会保険料の企業負担割合を、税金を使って減らし、その分、医療保険適用されるパートやアルバイトの方の割合を増加させる政策を採用すべきだと考えます。 こういった働き方によらないできるだけ公平なセーフティネットを整備することに加飲酒し、信号無視して事故を起こした運転手の自動車保険料と、ゴールド免許の運転手の自動車保険料が同じでよいのでしょうか? 次に、例えば卒後すぐの研修医にかかっても、30年のキャリアを積んだ専門医やスキルや経験の豊富な医師であっても、患者の支払う医療費は一律同じというのも不思議な制度です。 患者側からすれば、腕のよい医師にかかってもありがたみがありませんし、事前に各医師の専門性やスキルを知る術もありません。医師のモチベーションも上がらないでしょう。 技術や専門性、経験値の高い医師になるほど多くの費用を払われる「ドクターフィー制度」を導入すべきだと思います。医師に研鑽を積んでもらって医療の質を上げ、患者が見極める目を持つためにも、必要な制度だと思います。ただ、報酬の行き先を医師個人か医療機関にするかなど細かい議論は別途必要でしょう。 最後に、医療行為の費用対効果を検証していないことも弱点です。 現在、高額な先進医療でも、それが世間に広く普及すれば、単価は下がります。現時点で、その高額な先進医療を保険適用すれば保険財政が苦しくなるかもしれませんが、単価が下がったり、結果として例えば入院日数が短縮できたりしてトータルで安くなれば、それはむしろ医療費を節約することにつながります。こういった大局的な判断をする場が名目としてはともかく実体として今の厚生労働省には存在しません。こういった大局的な「費用対効果」の判断も、これから国民皆保険制度を維持していくためには必要だと考えます。被保険者に差を費用対効果の検証をドクターフィー導入をLOHASMEDICALVIEWLOHASMEDICAL


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