ロハス・メディカルvol.115(2015年4月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年4月号です。


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LOHASMEDICALVIEWのNPOは、その名も「患者スピーカーバンク」(鈴木信行理事長)。2012年7月に発足しました。スピーカーたちが話す相手は主に、病気になって間もない人、医療従事者、医療関連企業などの社員、医療を学ぶ学生です。 発足のきっかけは、鈴木理事長の個人的な体験でした。鈴木さんは、生まれつき背骨の発達が不十分な二分脊椎症で、排泄の感覚がなく脚の骨が変形するという障害を持っています。さらに大学3年生20歳の時には精巣がんを発症、再発転移も経験しました。 自分の生き方について様々なことを考えたという鈴木さんは、大学卒業後、製薬会社の研究所に勤務、傍ら二分脊椎症患者会の会長などを務めます。ある時、患者会の席上で、障害があっても普通に進学できたことを語ると、親たちから質問攻めにされました。その後も折に触れて医学生などに病気の体験を話すうち、自分の体験が誰かの役に立つということに気づいたのです。 製薬会社を退社して2008年に東京・文京区にカフェを開業、医療系の勉強会に積極的に参加している中で、「患者の声は医療に役立つ」という研究成果が出てきました。 研究のメンバーと、どのようにしたら患者が語る意義を社会的に広めることができるかと検討したところ、NPOが最も適しているとの結論になり、「患者スピーカーバンク」設立に至ったのだそうです。 2015年2月時点での会員数は52人。①患者スピーカーを養成する「患者スピーカー研修」の開催 ②研修修了者が発表の練習する場である「ブラッシュアップ研修」の開催 ③講師派遣の問い合わせに応じて患者スピーカーの紹介 ④イベントの企画運営、の4事業を主に行っています。 患者スピーカー研修は初級・中級・上級に分かれており、自分の病気を客観的に見る、人前で話すことに慣れる、伝えたいことが聴いている人の深い所に入っていくような「ワーク」を工夫する、というようにステップアップしていきます。上級まで研修を終了した人が14人、中級研修修了者が5人、初級修了者が21人いるとのことです。 さて、「医療に役立つ」とは、一体どういうことでしょうか。 鈴木さんは言います。「医こNPO法人『患者スピーカーバンク』患者の語りは社会を変えるか医療を良くする病気の経験から得た気づきを語ることで、聞いた人を勇気づける。それが社会や医療を良くすることにつながるのでないか。こんな思いで、様々な病気の患者たちが3年前にNPO法人を設立、語り部の「患者スピーカー」を養成し、企業や医療現場で講演を行っています。LOHASMEDICAL


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