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と現実が違ってしまっています。 つまり現在の医薬分業は、国民に不便を強いている上に、現実に即してもいないのです。医薬分業を担う調剤薬局や薬剤師の提供するサービスが国民のニーズと合っていないのですから、厚労省だけでなく、薬局や薬剤師業界は今後のあり方を再考すべきです。 誰も大きな声で言いませんが、医薬分業は、厚労省の中での医系技官と薬系技官との縄張り争いの結果だと私は思っています。そのため、こんな国民不在の制度になったのだと思います。これでは薬剤師自身も働きがいを見出しにくく、ある意味、薬剤師は医薬分業による〝被害者〟とも言えます。 ここまで広がった医薬分業を白紙に戻すのも非効率なので、せめて近隣の医療機関にしか対応できない「門前薬局」声で話したくないと思ったりする人もいると思います。これは、薬剤師の仕事の仕方がいけないのではなく、処方箋から調剤するだけで「かかりつけ薬局」になれるという発想がおかしいのです。 また、厚労省は、以下のような付加的なメリットもあると言います。処方箋は全国どこの調剤薬局にも有効なので、勤務先でも自宅近くでも、都合のいい所に行ける利便性があるというものです。しかし、実際に処方箋をもらって仕事帰りに自宅の近所の薬局に行ったら「この薬は置いていないので、明日以降になります」と言われた経験のある人も多いでしょう。調剤薬局が国内で販売されている膨大な薬すべてをストックしておくわけにはいかないので、近隣の医療機関が頻繁に処方する薬を主に置いていることがほとんどです。すると、他の医療機関で処方された薬はないということになります。建前の現状は改善すべきです。コンビニチェーンなどの流通を参考に、どの薬局でもどんな薬にでも対応でき、同じサービスと質を提供できる物流インフラを整えていくべきではないでしょうか。必然的に大規模数社に集約されると思いますが、患者の利便性を本気で考えれば仕方ないと思います。 小規模の薬局が活路を見出すには、私は「地域包括ケア」の一翼を担って在宅や施設など積極的に地域に出かけ、活動の場を広げていくのがいいと思います。在宅で薬の管理や重複のチェック、飲み方の指導、ケア会議への参加などはもちろんですが、個人的には介護職との連携を進めてほしいと思います。 薬剤師が出かけていって介護職向けの勉強会などを開き、薬の作用機序や特徴、その薬を服用することによる患者の日常生活への影響などを共有すれば、日々の生活を支える介護職に役立ちます。例えば、その薬を飲むとふらつきが多くなるとか、内出血しやすくなると聞けば、介護職は家具の置き方や歩行時に気をつけて、転んだりぶつけたりしないよう配慮できます。「カウンター越し」のような距離のある関わりではなく、具体的に患者を支えられますし、地域に必要な職種であることを実感できると思います。 薬剤師は、ドラッグストアからの求人も多く、平均年収は500万円を上回る売り手市場の職種です。やったことのない地域活動などしなくていいと考える人も多いでしょう。しかし、6年間勉強して得た国家資格を持つプロなら、日本の現状を見て、自らの役割を考えてほしいのです。どんな役割を果たすことが国民の期待に応えることなのかを、業界、薬剤師自身がもう一度考え直さなければなりません。ぜひ街へ出て活躍の場を広げてほしいです。薬剤師も被害者LOHASMEDICALVIEW29LOHASMEDICAL