ロハス・メディカルvol.118(2015年7月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年7月号です。


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臓が解毒の働きをしていることは、中学や高校で学びます。薬学の視点からは、もう一歩発展させて知っておいてほしいことがあります。薬の飲み合わせとの関係です。 薬の飲み合わせを、未だ安易に考える人たちがいらっしゃいますが、これから説明することをおぼろげでも記憶していれば、飲み合わせを考える上でのポイントが分かり、いざという時に留意する気持ちになれるのではないかと思います。 肝臓の解毒作用の例として、中学や高校の理科では、タンパク質の分解で生じるアンモニアが体に毒であるため、尿素に変えることを学習します。また、アルコール(エタノール)をアセトアルデヒドに変えることを学びます。 実は、薬も同じように、肝臓で「解毒」されています。のチトクロームP450系(略してCYPシップと読みます)と呼ばれる一群の酵素です。ヒトでは50種ほどあります。その中でもC Y P 1 A2、CYP2C9、C Y P 2C19、CYP2D6、C Y P3A4が薬の代謝に大きく関与しています。これらの酵素は端的に言うと、脂溶性の物質を水溶性に変える働きをします。ヒトの体の多くは水分から出来ていますし、尿から排泄されることを考えれば、ただし、有害なものを無害なものに変えるとは限らないので、「代謝」と呼ぶ方が適しています。薬の成分が、肝臓の酵素で変化して、薬効を示すようになったり、排泄しやすい形になったりします。 薬を代謝する酵素はたくさんあります。その中でも特に重要なのが肝臓水溶性の度合いを大きくする方が体外に排出されやすいと言えるでしょう。 もちろんこれら肝臓の酵素を全く介さない薬もあります。また、1種類でなく複数の酵素によって代謝されるのが通常です。その経路は、個々の薬によって異なるので、薬が体の中でどのように代謝され、血中濃度が時間と共にどう変化し、どのように体の中を巡るのか(これらを薬物動態と言います)、臨床試験の早い段階で調べられています。 このCYPは、薬を代謝するだけでなく、逆に薬によって活性化されたり抑制されたりもします。このため飲み合わせの問題が出てきます。飲み合わせに関与する頻度が高いCYP3A4を例に3パターンを紹介します。●飲んでいる薬AがC Y P 3 A4を活性化しやすい(誘導しやすい)場合に、C Y P3 肝LOHASMEDICALVIEW薬は体内で変化する薬を代謝する併用するとこうなる薬剤師。科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」主宰吉田のりまき都道府県が設置する教科書センター一覧は、文部科学省のサイトに掲載されています。HTTP://WWW.MEXT.GO.JP/A_MENU/SHOTOU/KYOUKASHO/CENTER.HTM教科書をご覧になりたい方へ第3回肝臓の酵素を介し併用薬が相互作用2ROBUSTHEALTH


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