ロハス・メディカルvol.118(2015年7月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年7月号です。


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A4によって代謝される薬Bを併用したらどうなるでしょう。薬Aを飲んでいない時に比べて代謝が進んでしまい、薬Bの血中濃度が低くなるため薬効が落ちてしまいます。疾患によっては薬Aの服用を中止できない場合があるので、医師は、「薬Bと薬効が同じで、かつCYP3A4で代謝されない薬C」を選んで処方するでしょう。あるいは、薬Bの服薬量を増やすでしょう。でも、薬Aを飲んでいることを患者が伝えなければ、医師は薬Bを処方してしまいます。そうなると、せっかく薬Bを飲んでも、飲んでいる量だけの薬効が得られないということになります。●逆に、薬AがCYP3A4を抑制する場合はどうなるでしょうか。薬Bは通常よりも代謝されにくくなり、血中濃度が高くなります。薬の効果が上がってお得と考える人もいますが、大間違いです。適切な血中濃度を超えてしまうと毒性(副作用)が出てしまいます。臨床試験で「薬となるが毒にはならない血中濃度」を探し、それを保つように服用量と回数を決定しているわけですから、その濃度から逸脱することは危険です。この場合、医師はC Y P 3 A 4で代謝されない薬Cに変えるか薬Bの服薬量を減らします。●薬Aも薬BもCYP3A4で代謝される場合は、C Y P 3A4の取り合いとなるので、薬Aも薬Bも単独で服用したP2C19やCYP2D6などには、作られる酵素の形が少し異なる遺伝子の差(多型)があり、特にCYP2C19では、他人種と比べて日本人を含むアジアに活性が低い人の割合が多いことも分かっています。活性の低い遺伝子型を持っている人では、薬は代謝されにくく血中濃度が高くなるため、他の人より副作用が出やすくなります。代謝されて初めて薬効を示す薬の場合、代謝されにくい遺伝子型を持っている人は効果を期待しづらい可能性があります。 世間では、病気のなりやすさを調べる遺伝子検査が広まってきましたが、医療現場では薬の効果を適正に発揮させるためにCYPの遺伝子多型を検査するようになってきました。 以上の情報を知ったら、飲んでいる薬をすべて医師に伝えないと、医師が処方を間違える可能性があること、お分かりいただけると思います。自己判断で併用せず、必ず医師に申告してください。LOHASMEDICALVIEW毎回、本文と関係のある本をご紹介していきます。丸山敬著 ナツメ社 2013年フランシス・S・コリンズ著矢野真千子訳NHK出版 2011年もっと知りたい方に最新カラー図解はじめての薬理学遺伝子医療革命ゲノム科学がわたしたちを変える時と異なる代謝になるのは必至です。 簡単に3パターンを記載しましたが、このような状況の他に、個人差が関与してきます。肝臓に疾患があれば酵素の力が通常より低下しますし、年齢や体調も関係してきます。さらには、遺伝的な要因もあります。C Y 3ROBUSTHEALTH遺伝子の個人差も


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