ロハス・メディカルvol.118(2015年7月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年7月号です。


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第22回複数存在するものの、低所得者から富裕層まで全国民が同じ保険制度のもとで医療にアクセスができる、ある意味、日本以上に徹底的な国民皆保険制度が完成しました。 疾病保険では3割ほどの自己負担もあるのですが、自己負担分に対する上乗せの保険(補足給付)も存在し、多くの人は少ない自己負担で医療を受けられます。 抗がん剤など最先端の医薬品にも広く保険適用されているようで、ただし適用の際には、製薬会社の言い値を受け 最初にクイズです。人口約225万人のパリ市に救急車は何台あるでしょう? ちなみに1300万人強が住む東京には約330台あります。 人口の比率から考えると50〜60台は必要な気もします。ところが実際には15台しかないそうです。 それで足りてしまうのは、日本と制度が違うからです。 さて、フランスも日本と同様に国民皆保険を実現しています。2000年に保険者は容れることはまずなく、費用対効果をシビアに判定して値付けするとのこと。それでも保険適用される方が製薬会社にとってもメリットがあるため(大きい市場が手に入るため)折り合いはついているそうです。 日本より制限されている部分もあります。 フランス国内には病院勤務医が約8万5千人、開業医が約12万人います。この開業医のうち約半数が「一般医」、残りの半数が「専門医」とです。まずフランス全国民は、自分の「かかりつけ医」を「一般医」の中から選んで登録することが義務づけられています。選び方は自由ですし、また途中で「かかりつけ医」を変更することもできます。 医療機関を受診する際には、原則的には「かかりつけ医」を受診することになります。もちろん直接、専門医を受診するうめむら・さとし●内科医。前参院議員、元厚生労働大臣政務官。1975年、大阪府堺市生まれ。2001年、大阪大学医学部卒業。5月、フランス・パリへ、日本で言うところの地域包括ケアをどう運営しているのか視察に行ってきました。膨張する社会保障費をどう賄っていくか、日本と抱える課題は一緒と感じましたが、その一方で彼らは、日本人から見ると「そんな在宅ケアでも大丈夫」と思うような状況も大らかに受け入れていました。日本の地域包括ケアシステムは、日本人の緻密さや勤勉さで支えられているように感じました。フランスで見えた日本の努力地域包括ケアは頑張り過ぎ徹底的な皆保険LOHASMEDICALVIEWことはできますが(フリーアクセスは保たれている)、その場合の自己負担は通常の「3割」ではなく「7割」になります。ですから経済的な誘導で、「かかりつけ医」↓「専門医」、「かかりつけ医」↓「病院」という流れが作られています。 なお、フランスの医師は、大学卒業後に「全国クラス分け試験(ECN)」を受験し、自分の希望する診療科目の最低得点(最低順位)以上であれば、その診療科目に進むことができます。ちなみに2 0 28LOHASMEDICAL


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