ロハス・メディカルvol.119(2015年8月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年8月号です。


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組みになっています(図2)。国の人口構成が制度誕生時と大きく変わった(図3)ことと、この20年ほど経済成長が止まっていたことから、当初は想定していなかった欠陥が生じてしまったのです。この欠陥は、同じく所得再分配の手段として位置づけられる年金制度も抱えています。 ただし、医療(あえて付け加えると介護も)の場合は、年金と異なり、お金ではなくサービスの現物が提供されます。このため費用は、年金のように高齢者世代に死蔵されるわけではなく、若年層であるサービス提供者に還流します。また、早々に国外流出したり、裕福な人の懐に入って貯金に回されたりしない限りは、消費に回され国内の景気を支えます。つまり、総額が膨らむことをコストとばかり捉えてシャカリキに抑制する必要はなく、若年層に対して問題はツケ回し世代間の格差LOHASMEDICALVIEW 政府の大きな仕事の一つが「所得の再分配」であることは、ご存じと思います。政府が間に入って豊かな人から貧しい人へ富を移動させることで、社会に公平さと活力を与えようとするものです。公的医療保険も、所得再分配の手段の一つとして位置づけることができます。 ところが現在の国民皆保険制度は、相対的に貧しく人口も少ない若者世代が、相対的に豊かで数も多い高齢者世代(図1)を支える逆向きの仕 加齢と共に、医療を受ける人の割合と1人あたり医療費が高くなります。医学が進歩して、新しい医薬品や治療法が登場すると、それも医療費を押し上げます。このことから、今後数十年は公的医療保険の給付総額が増え続けると予測され、現在の仕組みのままでは費用を賄いきれなくなることが心配されています。 そして仕組み自体にも、問題が山積しています。世界的にも優れた制度だった国民皆保険は、その思想が単に時代と合わなくなってきているだけでなく、社会の不公平さを拡大する働きすら果たしてしまっています職と収入そして誇りを与える手段、国内の経済を下支えする手段なのだ、と捉え直すことも理論的には可能です。 現時点でその考え方が主流とならないのは、自分たちだけで費用を賄い切れず、将来世代へツケ回しをしているためです。国の一般会計収入に占める赤字国債の割合、重複を省いた医療保険全体の収入に占める国庫負担金の割合から機械的に計算すると、医療保険財政の8%弱、3兆円弱は赤字国債によって賄われていることになります。地方自治体へ交付金として流れた後で医療保険に投入される分まで入れると、もっと金額は大きくなります。 消費税率が10%に上がったとしても、それだけでプライマリーバランス(※)黒字化は達成されませんので、健康保険に対して一般会計から繰り入れを行う前提である限り、ツケ回しは続きます。 問題の本質は、給付総額が第2回[集中連載]歪みを助長※プライマリーバランス 借入金を除く歳入と、過去の借入に対する元利払いを除いた歳出の差のこと。黒字化しないと、赤字国債の発行は増え続ける。2


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