ロハス・メディカルvol.119(2015年8月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年8月号です。


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おおにし・むつこ●医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて基礎研究に従事。出典:NUTRIENTS2014,6,2131-2147;DOI:10.3390/NU6062131掲載の表を一部省略して翻訳卵、乳製品、魚、肉を1週間に1回より多く食べる卵や乳製品OK、魚、肉は1週間に1回より少なく、月に1回より多く食べる卵、乳製品、魚はOK、肉を食べない卵や乳製品はOK、魚や肉を食べない卵、乳製品、魚、肉すべてを食べないLOHASMEDICALVIEWパターンと大腸がん発症の関係を調べました。対象者の52%がベジタリアンで、そのうち29%がラクトオボベジタリアン、10%がペスコベジタリアン、8%がビーガン、6%がセミベジタリアンでした(表参照)。 平均7・3年の追跡期間中に490人が大腸がんを発症し、ベジタリアンはベジタリアンでない人よりも大腸がんのリスクが22%低くなりました。中でも、魚なら食べるペスコベジタリアンの相対的な大腸がんリスクは43%も低くなりました。ラクトオボベジタリアンは18%、ビーガンは16%、セミベジタリアンは8%、それぞれ相対リスクが低くなりました。 研究者たちは、他の因子との関連も調べ、菜食主義者たちのリスクが低くなった理由を以下のように推測しました。① 赤身肉に含まれる、または調理で生じる発ガン物質のリスクを軽減できた。② 食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素を多く摂取した。③ 精製された炭水化物、脂質、お菓子やスナック、砂糖入りの甘い飲み物の摂取が少なかった。④ ②や③の結果、リスク要因として懸念される高インスリン血症とインスリン様成長れまで、赤身肉を多く摂取すると大腸がんのリスクが高まるという報告と、食物繊維を多く摂取すると大腸がんのリスクが下がるという報告がありました。このため、肉の摂取量が少なく野菜や果物を多く摂るベジタリアン(菜食主義者)は、大腸がんが少ないのではと推察されていました。5月に米ロマリンダ大学の研究者たちによって、実際にリスクが低いこと、ただし菜食主義の程度によってリスクは異なることが報告されました。 この研究は、タバコやアルコールの節制や菜食主義など健康的な生活を推奨している「セブンスデー・アドベンティスト教会」の米国とカナダの支持者を対象に2002年から2007年にかけて行われた疫学調査の結果を基に解析したものです。25歳以上でがんに罹患したことがなく健康な食生活を送っている7万7659人について、食事のこ第35回魚を食べる菜食者は大腸がんリスク低い内科医(ボストン在住)大西睦子インスリンも関係ベジタリアンにも何段階かありますビーガンVEGANラクトオボベジタリアンLACTO-OVOVEGETARIANペスコベジタリアンPESCOVEGETARIANセミベジタリアンSEMIVEGETARIANベジタリアンでないNONVEGETARIAN


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