ロハス・メディカルvol.119(2015年8月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年8月号です。


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【広告】認知症を恐れている方も多いと思います。しかし、恐れられる原因に、医療が一役買ってしまっているという説もあります。軽度認知障害と認知症を専門に診療している木之下徹・のぞみメモリークリニック(東京都三鷹市)院長の解説でお届けします。認知症は怖くないそんな医療・社会へ 木之下医師は2001年から、東京都品川区を拠点に認知症の方への訪問診療を続けてきました。治療ガイドライン策定などにも携わっています。今年1月には、外来でも診てほしいという声に押されて、三鷹市にクリニックを開きました。 多くの認知症の方と接し、その治療に試行錯誤で取り組んだ経験から、断言できることがあると言います。 「世の中で認知症について色々なことが言われていますけれども、認知症に悩む本人にとっては、そのほとんどがウソです。認知症が進めば、自分の思ったことや感情を適切に表現できなくなることもあります。それを、『壊れた』と周りが勝手に解釈してしまうのです。その声なき声に耳を傾けず、異常と決めつけるから、本人はますます興奮します。挙句の果てに、精神をおとなしくさせるような向精神薬を使わざるを得ないことになります」 どうしても向精神薬を使わざるを得ない場面も確かにあり、使えば静かになるので周囲の人の負担は一見軽くなります。しかし、抑圧される本人が幸せでないのはもちろん、周囲の人にも罪悪感を残します。 「例えば、デイサービスで味噌汁の嫌いだった人に無理やり飲ませようとしてしまうことや、ご飯に色々な薬がまぶされていることがあります。イヤだと言う代わりに払いのけてしまった時、果たしてどちらが暴力的でしょうか。介護や医療を提供する側の視点で考えると、こんな簡単な話ですら精神的異常ということにされてしまいます」 そのような提供側の都合で捉えた認知症を木之下医師は、「処置する認知症」と表現します。そして、社会との接し方に悩む本人が知るべきは、そんな知識ではなく、「自分の認知症」のことだ、と言います。きちんと知れば、症状と折り合いをつけながら新た木之下徹のぞみメモリークリニック院長30LOHASMEDICAL「本人の視点」で


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