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市町村が運営する国民健康保険は、自営業者や農林水産業者だけでなく、雇用主が健康保険を提供してくれない被用者、退職で被用者保険から外れた前期高齢者(65歳から74歳まで)、失業者など、他では健康保険に入れない人の最後の受け皿になっています。 この結果、加入者の年齢構成が高く、使う医療費は多い一方で、得られる保険料収入は少ないという問題を抱えることになりました。 この国保財政を支えているのが公費の投入と、前期高齢者納付金です。加入者の中に前期高齢者の占める割合が全国平均を上回る保険者には交付金が支給され、下回る保険者は納付金を納める仕組みです(図)。 後期高齢者支援金にしても、前期高齢者納付金にしても、現役世代が加入者の主体となる各保険者は、自らその金額を減らす努力が全くできないまま、強制的にお金を徴収されているのです。前期高齢者納付金の発言の中に「インセンティブ」という言葉があったこと、お気づきになったでしょうか。そう、厚労省は単に役割を課すだけでなく、保険者に対してアメも用意しました。 大雑把にまとめると、加入者(被保険者と被扶養者)を健康にするような取り組みを行って数値目標を達成した所にはご褒美をあげる、後発薬の使用割合で数値目標を達成した所には、ご褒美をあげるという話に収しゅうれん斂されます。ご褒美の材料として使われるのが、後期高齢者支援金を減らしたり増やしたりすることです。頑張らない保険者は後期高齢者支援金を増やすよ、という脅しと表裏一体であることも、お分かりでしょう。 保険者の努力が報われるようにして医療費の膨張を抑えなければ、制度自体がもたなくなる、そんな時代になってきているのです。LOHASMEDICALVIEW納付金全国平均協会けんぽ国保【イメージ】前期高齢者加入率14.34%5.56%2.94%1.60%34.20%前期高齢者加入率が全国平均である場合の額※数字は各保険者の加入者の中で前期高齢者が占める割合(平成26年度予算ベース)健保組合B健保組合A協会けんぽ1.3兆円、健保1.2兆円、共済0.5兆円交付金市町村国保等3.0兆円納付金支払基金交付金29