120号(2015年9月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年9月号です。


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 後期高齢者医療制度にかかる費用の約4割は、現役世代が加入する他の医療保険の保険者が分担して拠出していることを、この連載の初回に説明しました。 どの保険者が、どれだけ拠出するか、これまでは加入者の数に比例する部分(加入者割)が3分の2、各保険者の標準報酬月額(要するに被保険者の平均収入)と被保険者数を掛け合わせたものに比例する部分(総報酬割)が3分の1でした。 それを全額、総報酬割にします。これによって保険者間の保険料率格差は是正されることになると考えられています。全面総報酬割けでは努力する保険者が報われないのも、また確かです。しかも、努力する保険者が報われないのは後期高齢者支援金だけではありません。「前期高齢者納付金」というものもあって、各保険者の財政を圧迫しているのです(左コラム参照)。 そもそも賃金の高い被保険者を多く抱える企業とは、平たく言えば大企業で、産業界の中での発言力も政治的な力も持っています。努力が報われない構造を残したまま、そうした企業の負担だけ増やそうというのは通りづらいのです。 前項でお示しした塩崎大臣年5月、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」(医療保険制度改革関連法案)が成立し、後期高齢者支援金の負担方法が2017年度から全面総報酬割へと変更されることになりました。 と言われてもチンプンカンプンの方も多いと思うので、制度の説明は下のコラムを参照ください。この変更を簡単に言うと、保険者の財政基盤の強弱を考慮し、賃金の高い被保険者を多く抱える保険者に、より多く負担してもらうことになったということです。 社会全体での分かち合いという方向性は頷うなずけるものがあります。その一方で、これだLOHASMEDICALアメとムチを用意努力が報われない構造は変わるのか今後期高齢者支援金の全面総報酬割の実施保険者の総報酬額の多寡に応じて支援金を負担被用者保険者間の格差解消•報酬水準の 高い健保組合•報酬水準の 低い健保組合•協会けんぽ支援金支援金支援金減支援金増28


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