ロハス・メディカルvol.121(2015年10月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年10月号です。


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LOHASMEDICALVIEW前号で特集した「オーラル・フレイル」は、咀嚼力の低下が危険因子の一つでした。咀嚼力の手軽な維持強化策と言えばガム噛みですが、そのガムを噛むことで刺激に対する脳の反応が早くなる、という研究結果が年に日本から報告され、その後も研究が進んでいます。ガムを噛んだら脳の反応早くなる 一時期流行し、しかし科学的に調べたら効果のないことが分かった「脳トレ」のようなことになるのでないかと考えていたところ、予想に反して「効果あり」という結果が出たのだと言います。 現在の坂本助教の関心は、なぜこのような現象が起きるのかです。 「単に顎を動かしただけの時や指先を動かした時には脳の反応が遅くなったことから、意識して行う動作ではなく、無意識に繰り返される『リズム動作』(※1)の効果でないかと考えられます。リズムのは過大評価ですが、脳の潜在能力が引き出されやすくなるというなら間違いなさそうです。 そもそも坂本助教が研究に取り組んだのは、「リラックスやストレス軽減あるいは記憶力増強など、咀嚼の脳への効果が色々と言われていますけれど、実際に脳機能を計測し、その効果を客観的に評価した研究は、ほとんどありませんでした。そこで科学的に検証しようと考えて」のことでした。見たことあると思います。あれは、彼らが経験的に、その効果を知っているからでしょう」と話すのは、研究(コラム参照)を行った自然科学研究機構生理学研究所の坂本貴和子特任助教です。 坂本助教たちによって、ガム噛みが脳の、刺激に対する認知・判断・処理の過程を活性化させること、飽きてしまうような単調な処理の正確性を上げることが分かりました。 ガム噛みによって、脳の能力が上がると解釈してしまう動作が脳幹の中枢性パターンジェネレーター(※2)を活性化するという先行研究は数多く存在し、咀嚼によって脳が覚醒したと解釈すれば、説明はつくと考えています」とのことです。 この現象を上手に使う手はないものでしょうか。 真っ先に考えられるのは、スポーツ選手が競技の前にガムを噛むことです。「私たちの実験から、噛んでから少なくとも5分は効果が持続すると分かっているので、出番の直前まで噛んでいればよいのではないでしょうか」 また、加齢や疲労によって、脳の反応は遅くなることが知られています。それを咀嚼で覚醒させて補うという使い方もありそうです。ただし、その覚醒が、デスクワークにも効果があるかどうかは分かっていません。 歯科医でもある坂本助教はリーガーがガムを噛みながら打席に入る姿を「大2LOHASMEDICAL調べたら本当だった生活に生かす方法


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